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三菱商事、海外子会社の中国籍社員が不正取引 約345億円の損失発生
三菱商事は20日、シンガポールで石油・原油のトレーディングを担う子会社にて、3億2,000万米ドル(約345億円)の損失が発生する見込みがあると公表した。中国向け原油取引を担当していた現地採用の元社員が、社内規定に違反してデリバティブ取引を繰り返した結果として発生した。
損失が出るたびにリスク管理システム上のデータが変更されたため、社内で損失が認識できなかったという。当該デリバティブ取引はすでに手仕舞い損失は確定済みで、違反を繰り返した社員は解雇したうえで刑事告訴した。
元社員の不正取引で損失を出したのは、三菱商事グループで石油・原油のトレーディングを行なうPetro-Diamond Singapore (Pre) Ltd.(以下PDS)。PDSは、三菱商事の100%出資で1989年にシンガポールに設立された、連結子会社となっている。
三菱商事の発表によれば、不正取引を繰り返したのは、PDSにて中国向け原油取引を担当していた中国籍の現地採用社員。中国向け原油取引に係るヘッジ取引と見せかけ、2019年1月からデリバティブ取引を繰りしていた。その後、原油相場が乱高下した7月頃より損失が拡大し、元社員が8月中旬より欠勤したタイミングで調査を行なったところ、社内違反による損失が発覚した。
PDSのリスク管理システム上のデータを変更しヘッジ取引を装っていたため、数カ月に渡って社内で損失が認識できなかったという。
ろ
当該デリバティブ取引はすでに損失額を確定させ、目下、詳細調査を続けながら最終的な損失額を精査している。元社員については、18日付で解雇し、重大な社内規定違反・法令違反ならびに会社へ多大な損害を与えたことを理由に、19日付で刑事告訴を行なった。
本件を踏まえ、三菱商事グループで同様の事案がないか調査を行ない、他には存在しないことを確認済みという。
国内においては、過去に大手商社などで発生した同様の事案を受け、内部統制環境や管理システムなどが強化され不祥事が減った。今回の不正取引は、本社と異なるシステムを持つことの多い海外現地法人におけるガバナンスの難しさを、改めて認識させられる事案となった。(記事:dailyst・記事一覧を見る)
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