電子タバコ使用に関連する可能性のある肺疾患の症例、10日間で倍増 米国

2019年9月11日 12:48

印刷

記事提供元:スラド

 headless曰く、

 米疾病予防センター(CDC)によると、リキッド加熱型電子タバコ(vape)の使用に関連する可能性のある肺疾患の症例が10日間で倍増したそうだ(CDCの調査に関する情報9月6日の記者会見トランスクリプトプレスリリースFDAの消費者向け情報)。

 幅広い注意喚起が行われたため、これまで見過ごされていた症例が報告された可能性もあるが、8月27日時点で215件だった症例は9月6日時点では450件にまで増加しているという。これによる死者はすでに報じられているイリノイ州の1名に加え、カリフォルニア州・インディアナ州・ミネソタ州・オレゴン州で各1名、合計5名が確認されているそうだ。ただし、6日に行われたカンファレンスコールによる記者会見ではオレゴン州とインディアナ州で各1名が7月に死亡しており、あと1件が調査中と説明されている。CDCでは今回の被害拡大を受けて過去の症例にさかのぼって調査しているとのことで、さらに増加する可能性もある。

 多くの患者はテトラヒドロカンナビノール(THC)などの大麻抽出物を含むリキッドを使用していたと報告されており、米食品医薬品局(FDA)が調査したTHC含有リキッドの多くに顕著な量のビタミンEアセテートが含まれていたという。ビタミンEアセテートは化粧品やサプリメントなどに用いられるが、蒸気を吸入した場合の安全性は確認されていない。ただし現在のところビタミンEアセテートを含め、肺疾患の原因と特定された物質はないとのこと。また、ノースカロライナ州の症例では、検査した5人の患者すべてがリポイド肺炎を発症していたそうだ。リポイド肺炎は油脂や脂質が肺に入ると発症する可能性のある非感染性の肺炎だが、原因となった脂質が外部から取り込まれたものかどうかについては特定できていないとのことだ。

 調査はまだ進行中の状態ではあるが、若者や妊娠中の女性は電子タバコ製品を使用しないこと、現在タバコ製品を使用している成人は電子タバコ製品の使用を始めないこと、路上で販売されている電子タバコ製品を使用しないこと、自分で電子タバコ製品を改造したり、リキッドに含まれていない物質を追加したりしないこと、禁煙しようとしている成人はカウンセリングやFDA認可済みの薬品を含め、根拠に基づく治療を受けることが推奨されている。

 スラドのコメントを読む | サイエンスセクション | スラッシュバック | サイエンス | 医療 | アメリカ合衆国

 関連ストーリー:
米国で電子タバコが原因とみられる肺疾患で死者が出る 2019年08月27日
米ウィスコンシン州、肺疾患になる可能性があるとして電子タバコ使用を避けるよう強く求める 2019年08月07日
電子タバコの添加物が炎症や肺機能低下を増大させる可能性 2018年10月14日
米国の電子タバコ工場で労働者が原因不明の呼吸困難や吐き気を訴えて集団ヒステリー状態に 2018年06月28日
電子タバコの爆発による米国初の死亡事故 2018年05月20日

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事