東洋水産、新たな食文化の創造で売上高4500億円、営業利益315億円へ挑む

2019年8月18日 07:54

印刷

 東洋水産は13日、チルド麵「マルチャン今どきの一杯 にんにく香る!豚骨醬油ラーメン」を26日から全国で新発売すると発表した。

【こちらも】キッコーマン、グローバル成長の継続で売上高5000億円を目指す

 「今どきの一杯」は、お鍋一つで楽しめる今どきのやみつきになる味わいをコンセプトにした、チルド麵の新ブランドである。食べごたえのある太麺に、ニンニクをしっかりと利かせた醬油味のスープがマッチしている。

 顧客ニーズの多様化に対応し、「マルチャン正麵カップ」「7種の野菜のスパイスカレーラーメン」などを併せて新発売する。

 東洋水産は1953年、東京築地市場で水産物の取引、輸出と加工食品(魚肉ハム・ソーセージ)の製造・販売をする横須賀水産として創業され、1956年東洋水産に社名を変更。1962年にマルちゃんブランドで即席麵の製造・販売を開始した。

 2019年3月期の売上高は4,011億円。構成比は海外即席麺事業が21%、国内即席麺事業が32%、低温食品事業が17%、加工食品事業が6%、冷蔵事業が5%、水産食品事業が7%、その他事業が12%を占める東洋水産の動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は過去最高を更新する4,011億円(前年比3%増)、営業利益は前年よりも30億円減の237億円(同11%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、海外即席麺は米国販売が好調だったが原材料費、人件費、物流費増により4億円、国内即席麺も物流費、原材料費増で4億円の減益に。低温食品は原材料費増により8億円、加工食品は新工場稼働に伴う減価償却費増により11億円、冷蔵は人件費増により4億円、水産食品は魚価高騰による販売減により1億円の減益となった。

 一方その他では弁当・総菜が好調で2億円の増益であった。

 今期売上高は過去最高を更新する4,200億円、営業利益はコストアップを新規設備の稼働効果と主力事業の価格改定で吸収することにより、270億円(同14%増)を見込んでいる。

■中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)による推進戦略

 2022年3月期に過去最高を更新する売上高4,500億円(対前期比12%増)、営業利益315億円(同33%増)を目指して、「新たな食文化を創造する」次の戦略を推進する。

 1.需要を引き出す新たな価値創造

 ・既存ブランドの弛まぬ進化による価値の拡大: 国内即席麺、低温食品でのNo.1商品育成の継続と米飯、フリーズドライの規模の拡大と店頭での提案力強化。

 ・技術開発と社会課題分析の融合による新たな価値の創造: 時短、簡便、個食、健康などの課題を見据えた商品開発の強化と、食品ロス削減など環境価値の高い取り組みを推進。

 2.海外展開の深化

 ・米国、メキシコにおける新たな食文化の提案: ノンフライ麺など新製品投入による新顧客層の開拓と、メキシコでの袋麵市場の規模拡大推進。

 ・中南米市場の強化: 人口約2億人のブラジルで即席麺の現地委託生産を開始し、店頭露出の強化と消費者キャンペーン強化。

 ・インド事業の現地への更なる浸透: 人口約13億人のインドでタミルナドゥ州に集中した展開を強化。

 3.経営基盤の強化

 ・安全、安心の更なる向上: ISO認証、食品安全規格など第3者認証取得の推進とコンプライアンス意識の徹底。

 ・バリューチェーンの効率化: 第3者の物流業者と連携して、効率的総合物流の推進とサプライチェーン全体での在庫、廃棄ロスの削減。

 新たな食文化の創造により、世界へ笑顔を届ける東洋水産の動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事