NTTデータ、AI活用し信金顧客の資金ニーズを予測 実証実験で効果確認

2019年7月14日 13:00

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サービスの利用イメージ。(画像: NTTデータの発表資料より)

サービスの利用イメージ。(画像: NTTデータの発表資料より)[写真拡大]

 NTTデータは12日、顧客の資金ニーズをAIが予測する信用金庫向けサービスの実証実験を完了したと発表した。このサービスは、AIが資金を必要とする信用金庫の取引先を予測し、訪問先の一覧を作成する。

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 NTTデータでは、NTTデータ数理システムと共同で行った今回の実証実験で効果が認められたため、今後、サービス提供に向けた検討を行う。資金を必要とする取引先を一覧化することで、信用金庫の渉外員は渉外活動において、資金を必要とする取引先に対して適切な提案が期待出来るという。

 信用金庫を含めた各金融機関は、融資といった資金を活用した金融商品による収益の最大化や、投信販売といった資金活用以外の商品販売による利益獲得を模索している。その中でも信用金庫は、取引先への訪問でニーズを把握して提案を行うなど、営業力の強化が求められている。

 一方で訪問先リストを作成する際、訪問先のピックアップは担当する渉外員のスキルに依存することが多く、必ずしも資金ニーズを必要とする取引先のピックアップが出来ていない。このため、取引先のニーズに対して適切なタイミングでアプローチ出来ていないなど課題が多かった。

 NTTデータが提供の検討を始めたこのサービスは、これらの課題を解決することが期待される。利用金融機関は、取引先情報などのデータを専用線経由で、同社のクラウドセンター内にあるサービスに登録する。登録した各種データをAIが解析し、潜在的に資金調達を必要とする取引先を一覧として出力する。渉外員は一覧化された予測結果をダウンロードして渉外活動を行う。

 このサービスの利用により、渉外員は効率的な訪問が可能となり、信用金庫の収益向上が期待される。昨年度、NTTデータが大阪シティ信用金庫と一緒に行った実証実験では、実際の営業成績に比べて約3倍の効果があったという。

 NTTデータは、まずは法人の資金ニーズを予測するサービスから提供を始め、将来は個人ローンのニーズを予測するサービスなどを提供する予定だ。(記事:まなたけ・記事一覧を見る

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