海賊版サイト「漫画村」元運営者がフィリピンで拘束、強制送還の見通し

2019年7月9日 18:35

印刷

 フィリピン入国管理局は7月9日、海賊版サイト「漫画村」の元運営者・星野ロミ容疑者(27)をマニラ空港で拘束したことを明らかにした。

 「漫画村」は出版社や漫画家などの権利者から無許可で作品を公開し、出版業界に大きな打撃を与えた違法サイトだ。その後、元管理者は「著作権違法」の容疑で日本の捜査当局から指名手配を受けていたため、今後はフィリピンから強制送還される見通しだという。

■悪質な海賊版サイト「漫画村」

 海賊版サイト「漫画村」の元運営者・星野ロミ容疑者の身柄が、フィリピンの入国管理局によりマニラ空港で拘束された。

 星野容疑者は2016年1月から2018年4月までの期間、漫画を中心に、小説、雑誌、写真集などを違法に掲載する“海賊版サイト”「漫画村」を運営。「登録不要で完全無料」をうたい文句に口コミで利用者を増やしたが、その話題性や影響力から社会問題視されるようになった。

 まず「漫画村」で公開されていた作品のほとんどは、出版社や漫画家・作家といった権利者への了承を得ていない、つまり著作権侵害のサイトであったのは周知されているだろう。これまでも発売前の週刊誌などいわゆる「早バレ」として画像や漫画をアップしたり、現在もPV数やアフィリエイトを稼ぐために無断で商業誌や同人誌などを公開するサイトが後を絶たないが、この「漫画村」は公開されていた作品数やユーザーへの認知度が規格外で多かった。

 さらに“違法サイト”でありながら公式ツイッターを運営したり、問題提起する漫画家などに「無料で広告してくれた」とコメントで煽るなどしていたが、その強気な姿勢の裏には、「著作権のない国で運営」しているため違法性がないと主張していたのだ。

 だが、2018年2月には衆院予算委員会で取り上げられ、日本漫画協会も「漫画村」など海賊版サイトへの見解を発表。その後は特定サイトに対する「ブロッキング」の是非が話題になるなどしたが、18年4月には閉鎖された。コンテンツ海外流通促進機構(CODA)による試算では、出版界などに与えた損害額は約3000億円とされている。

 2017年に講談社など複数の出版社が、著作権を侵害されたとして海賊版サイトを刑事告訴。2018年5月には福岡県警察が、著作権法違反容疑で捜査を開始したことが報じられた。

 海外を転々としながら逃亡をしていたともされる星野容疑者だが、日本への送還後はどのような供述をするかも注目されるところだ。(記事:高塔・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事