レッドブル・ホンダF1勝利 スペック3のターボエンジン、レッドブルリンクで本領発揮

2019年7月5日 18:42

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(画像: 本田技研工業の発表資料より)

(画像: 本田技研工業の発表資料より)[写真拡大]

 うれしいニュースだ。ホンダが「第4期F1」と位置付ける2015年からのF1復帰から、ようやく4年目にしてレッドブルの元で1勝をあげた。復帰当時は名門マクラーレンと組んで、レースファン誰もが期待を膨らませた。「マクラーレン・ホンダ」の響きは、「最強のコンビ」と受け取られるのだ。セナと本田宗一郎が組んだ黄金期を、未だにF1ファンは忘れていなかった。

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 しかしその中で、マクラーレンからの技術的要求実現に苦しんだホンダは、結果を出すことが出来なかった。「情けない」と言われても、ホンダF1スタッフは耐えるしかなかったであろう。

 マクラーレンが要求したのは、エンジンVバンクの中にターボチャージャーを収めることだった。「サイズゼロ」と名付けられていた。これでホンダはターボチャージャーの径を小さく制限するしかなかったが、これは「受け入れるべきではない」コンセプトだった。「プロペラは径を大きくゆっくりと回すと効率が上がる」原則に反していたからだ。ブランクのあと復帰したばかりのホンダが、名門マクラーレンの命に逆らえない事情を感じさせた。

【参考】【さらばマクラーレン・ホンダ】F1最強ブランドの終焉 「サイズゼロ」の失敗?

 その間、アストンマーティン・レッドブル・レーシングは、こんな事情を見抜いていた。今年エンジンコンストラクターとしてホンダを指名し、「まじめで、ひた向きに闘志を燃やす」日本人の特性を引き出してくれた。

 ホンダエンジニアの実力を信じ、彼らの変わらぬ努力を信じ、協力体制を引いてきたのだ。表彰式では、かつてマクラーレン・ホンダで走ったフェルナンド・アロンソに祝福され、レッドブルチームはホンダF1テクニカルディレクターの田辺豊治氏を表彰台に招き上げた。

 「ホンダ・スペック3」には、ホンダの航空機エンジン研究開発部門のターボ技術が取り入れられたようだ。これはブレードの効率の問題など、マクラーレンが「サイズゼロ」コンセプトで要求した、車両の空気抵抗を削減するパッケージング優先の考え方から脱却するものであったはずだ。

 これはレッドブル・サーキットの標高700mの薄い空気をコンプレッションするハンディに、フィットしたものであったのだろう。またF1グランプリ開催コース21の中でラップタイムが最速となるレッドブル・サーキットの特性において、ターボの動作の違いが発揮されたのであろう。

 今回は薄氷を踏む勝利であって、かつてのマクラーレン・ホンダの圧倒的速さには程遠い勝利であった。しかし、ホンダF1チームが「何かを掴んだ」のは確かなことで、これからさらに期待していきたいのがファンの心境だ。

 レース中のファステストラップも記録しているレッドブル・ホンダだが、タイムアタックでは使うものの本番のレースでは使わないハイパワーを使ったと伝えられる。恐らくこれは、予選のタイムアタックでは短時間だけ使える最高回転数を、本番レースの中でも使っていたことを示すのであろう。ホンダエンジンがこれに耐えてレースを走り切ったことは、これから1段上のハイパワーを出してくるかもしれない期待を抱かせる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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