メルカリ、英国子会社を業績不振で解散 グローバル戦略に疑問符

2018年12月19日 21:49

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 メルカリ【4385】は18日取締役会を開催し、同社の英国子会社を解散することを決議した。これまで同社は日本で運営しているマーケットプレイス事業のノウハウを米国と英国に移管することを目指しており、英国子会社では、地域性に合わせた企画開発やマーケティングを行ってきた。しかし期待する水準の事業として成立しないと判断し、この度の決議となった。以後、2020年6月期を目途として各子会社の解散を決議し、現地当局への申請やその他法的手続きを順次行う予定である。

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 メルカリは2013年2月に設立され、東京都港区に本社を置いている。スマホアプリを用いたインターネット上の中古品取引サイトを開発し、運営。同市場では国内で高いシェアを有しており、2018年6月には、東証マザーズに株式を上場した。海外進出や外国人の採用にも積極的で、2014年に米国に子会社を設立している。

 同社は2015年11月にロンドンにて英国子会社「Mercari Europe Limited」を設立した。先に事業展開している日本と米国での手法を基にヨーロッパ市場での事業拡大を目的としていた。しかし設立後2期にわたって売上高は計上できない状態が続き、2018年6月期には売上高3,000ポンド(約43万円)を計上したものの、730万8,000ポンド(約10億3,900万円)の赤字となっていた。

 なお、今回の解散に伴い、拠点閉鎖に関わる諸費用などで2億円前後の費用が見込まれている。この費用は特別損失として今期もしくは来期の決算にて計上される見通しだ。一方で英国子会社関連の株式評価損として約14億5,000万円が税務上の損失として今期以降に容認される。それによって同社の法人税などが軽減される見通しがあると説明している。

 同社は個人間の中古品取引を仲介する仕組みを世界中に広めることを企業の目的としている。しかし海外でビジネスが容認される要素として法的な仕組み以上に、地域の文化や宗教感に沿ったビジネスであることがより重要だ。地域に合わせた事業展開には高いハードルが立ちはだかっているようだ。(記事:福井廉太・記事一覧を見る

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