シャープ、有機ELスマホ「AQUOS zero」発売 韓国勢の牙城に一撃

2018年10月4日 16:50

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スマートフォン2018年冬モデル「AQUOS zero」(写真1:シャープの発表資料より)

スマートフォン2018年冬モデル「AQUOS zero」(写真1:シャープの発表資料より)[写真拡大]

  • 自然なタッチ操作が行える独自のラウンドフォルム(写真2:シャープの発表資料より)

 シャープは3日、スマートフォンAQUOSとして初めて有機ELディスプレイを搭載し、世界最軽量の約146グラムの「AQUOS zero」を、2018年冬モデルとして商品化すると発表した。

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 シャープは独自の結晶技術を用いた液晶IGZOを開発し、スマホに搭載。その電子移動度の速さで、液晶では最も高輝度・高精細を実現してきた。それでも、シャープは2016年9月30日、有機ELディスプレイに総額約574億円の設備投資を実施。バックライトとカラーフィルターを必要とする液晶に比べて、有機ELは、薄く、高輝度であるばかりか、曲面の実現が新たな意匠性を生む。

 アップルの最新スマホが有機ELを採用するなど、有機ELの持つ特長を最大限に生かす商品が今後も現れるであろうが、有機ELを量産できる企業は、韓国勢のサムスンとLGのみ。日本勢では、JOLEDが8月に、量産印刷方式有機EL量産に向けて470億円を調達したが、量産は2020年以降になると思われる。

 今回の発表は、有機ELの「AQUOS zero」発表であるが、韓国勢の有機EL量産の牙城に、一撃を加えるものだ。シャープの有機ELは、三重工場(三重県多気町)と、堺工場(大阪府堺市)で製造する日本製だ。2016年9月30日の有機EL設備投資のプレスリリースでは、パネル出荷も目論んでおり、これで技術開発が、商品化できるレベルに到達したことになる。

●「AQUOS zero」の特長
 スマホAQUOSとして初めて有機ELを採用。6.2インチ 大画面WQHD(2,992×1,440画素)は、100万:1の高コントラストと、DCI-P3規格(デジタルシネマの標準規格)の100%の広色域を実現。有機ELの特長が活かされる。

 自然なタッチ操作が行える独自のラウンドフォルム(写真2)は、有機ELの曲げの特長を活かしたものであろう。液晶と異なりバックライトが不要になったことで、側面にマグネシウム合金、背面に軽量で強度の高いアラミド繊維を用いて、世界最軽量の146グラムを達成。(写真1)

 CPUはクアルコムの最新版Snapdragon 845を搭載。6ギガバイトのRAM搭載は複数アプリの起動にも耐えられる。2つの充電ICを併用して充電時の発熱を抑える「パラレル充電」を採用している。

●有機EL(シャープ、「AQUOS zero」)のテクノロジー
 有機ELは韓国勢の牙城といわれるが、その牙城も必ずしも堅牢なものではないようだ。量産時の低歩留りの問題が燻ぶる上に、サムソンとLGの有機ELの狙う有機ELの大きさが異なるため、量産のノウハウは共有されにくい状況にあるものの、歩留りは改善されていくであろう。JDIやJOLEDの量産開始までの、シャープの有機EL量産の歩留りと外販情報が、今後の有機ELの勢力図に反映されていくであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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