岩谷産業、水素試験施設を拡充 国内最高レベルに 水素社会実現に向けて

2018年8月28日 16:35

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 岩谷産業は27日、水素ステーションの拡充といった水素エネルギーインフラ整備を支援するため、同社の中央研究所水素研究設備を改修して「極低温」と「超高圧」両方の水素試験ができる試験環境を整備したと発表した。これらの試験環境は国内で唯一となる。

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 我が国では、2017年12月にカーボンフリーな水素社会の実現をめざした「水素基本戦略」が策定され、安価な水素の製造・サプライチェーンの構築といった今後の開発方針が示されている。また、2018年3月には自動車メーカー3社と、岩谷産業を含む水素インフラ関係の6社および豊田通商、日本政策投資銀行が合同で「日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM:ジェイハイム)」を設立して、水素ステーションの本格整備を開始している。

 水素ステーションの設置拡充のためには、機器の耐久性評価試験や材料の水素適合性評価などの試験研究が必須となる。岩谷産業では、2013年4月の中央研究所開所時にマイナス253度の極低温の液化水素研究設備と超高圧水素ガス研究設備を設置したが、今後の水素インフラ整備加速に対応するため、より高度な評価試験ができる施設に再整備した。

 再整備した施設は、国内で唯一の「極低温」と「超高圧」両方の水素研究設備となった。さらに、配管や機器などの金属材料の水素脆性を評価する「水素適合性材料評価研究設備」も新たに設置された。再整備された液化水素研究設備では、テストピースをマイナス253度から常温まで繰り返し熱サイクルをかけ耐久性を調べる熱サイクル試験を国内で唯一実施できる。超高圧水素ガス研究設備では、バルブやフレキシブルホースなどに温度制御された高圧水素で加圧と脱圧を繰り返すインパルス試験など、国内最高レベルの試験が可能となった。

 施設は、大学や試験研究機関との共同研究に活用して技術開発を更に加速させるという。

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