三菱マテリアル、食品廃棄物バイオガス事業のための法人を設立

2018年8月23日 19:59

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バイオプラントのイメージ。(画像:三菱マテリアル発表資料より)

バイオプラントのイメージ。(画像:三菱マテリアル発表資料より)[写真拡大]

 三菱マテリアルは22日、食品廃棄物のバイオガス事業のための法人「ニューエナジーふじみ野」を設立したと発表した。

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 日本の廃棄物最終処分場は、残余年数が約15年と言われている。また新設も容易ではない。したがって廃棄物の最終処分場削減による延命対策が課題になっている。

 食品廃棄物は日本国内で年間1,600万トン発生している。その2割から3割は飼料や肥料としてリサイクルされているが、大半は焼却処分されているというのが現実である。そもそも食品廃棄物の発生は都市部に多く、飼料や肥料によるリサイクルの拡大は難しいのだ。

 そこで近年注目されているのが、食品廃棄物をメタン発酵させるバイオガス化である。電気、熱などのエネルギーとして廃棄物を有効利用するリサイクル技術として、焼却廃棄物や温暖化防止の観点から将来性を期待されている。

 以上のような背景のもと、三菱マテリアルは2015年に環境省の補助事業として埼玉県本庄市においてバイオガス化の実証試験を実施、事業化に向けた検討を進めてきた。2018年4月には、埼玉県富士見市、ふじみ野市、三芳町で構成する入間東部地区事務組合の所有する浄化センター(し尿処理施設)の一部を借り受けて、バイオガス事業を実施することについて協定を締結している。

 今後は具体的な事業化に向けた手続きが進められていくわけであるが、2018年度中には賃貸借契約を締結し、2019年度中にプラントを建設、2020年4月の事業開始を予定している。

 ニューエナジーふじみ野社の事業規模は、食品廃棄物一日あたり40トンとなる予定である。民間事業としてバイオガスプラントを建設・運営する計画であるわけだが、バイオガスによる発電を行うとともに、発生する汚泥などは三菱マテリアルのセメント工場でリサイクル利用し、最終処分廃棄物が発生しない独自の事業スキームも想定しているという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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