中国でも展開する良品計画のEC その現状は

2018年8月9日 16:57

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 良品計画の勢いが全く衰えを見せない。前2月期の「13.9%増収、18.3%営業増益、52円増配345円配」を受け今期も、「11.8%の増収(4,243億円)、10.4%の営業増益(500億円)、37円増配382円配」計画で立ち上がった。

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 無印良品で知られる良品計画のネット通販は、前2018年2月期で総売上高比率約6.5%。EC参入の契機は東京・青山の単独店舗出店(1983年)に求められる。「出店当初より全国から電話での問い合わせが非常に多く、90年代には売上の半分近くが電話注文という時期もあった」(企画室)という。こうした事由に通販の拡がりという時流が重なり、2000年にネット通販子会社(MUJInet社)が設立された。順調に推移した。それが「ネットを介したお客様とのものづくりの共有という先見的視点」(同)に繋がり、現在はWEB事業部がEC(MUJIネットストア)の運営を担っている。

 WEB事業部立ち上げに際して、現会長(当時、社長)の金井正明氏は3つのミッションを課した。

『ネットストアを、無印良品ブランドを理解して頂きご来店を促す場所とすること』
『無印良品ファンとの間に、絆をつくること』
『ネットストアの売り上げ拡大に努めること』

 小売業界で昨今注目を集めている、オムニチャネル戦略に通じる先駆けの感を抱かせる。

 ところで良品計画が展開するECはこんな役目も果たしている。衣食住に関する7,000余に及ぶアイテムの中には、サイズなど物理的問題で店舗に置くことができない物もある。が、ネット上の紹介・販売は可能。注文主への配送体制が十二分であればファンの増加を促し、来店者数の押上げにも通じる。いわゆる「O2O」の実践である。

 ECについて企画室では「過度なweb広告で新規顧客を獲得するより、ネットアプリの活用で2回目、3回目のお買い物を提案する戦略の深耕を図っている。それがネットと店舗の融合を進化させると考えている」とし、こうも言及した。「ECを介して海外市場の深耕に注力している」。現に上海の現地子会社を通して中国2位の大手ECサイト京東商城(JD.com)に「無印良品旗艦店」を開設し中国で展開する全ての商品を取り扱っている。ちなみにオフラインビジネスでも京東商城と協業している。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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