日産・GT-Rとジウジアーロ率いるイタルデザイン、ともに50周年を記念した共作

2018年7月1日 21:22

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「ニッサンGT-R50 バイ・イタルデザイン」(画像: 日産自動車の発表資料より)

「ニッサンGT-R50 バイ・イタルデザイン」(画像: 日産自動車の発表資料より)[写真拡大]

  • 「ニッサンGT-R50 バイ・イタルデザイン」
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 アルファロメオ、ブガッティ、ランボルギーニ・トヨタ・いすゞ・スズキ・三菱・ダイハツなど多くのメーカーの車を、ベルトーネ、ギア時代からデザインしてきたジョルジェット・ジウジアーロ氏率いるイタルデザインが50周年を迎えた。同じく50周年を迎えた日産・GT-Rは、「何の制約もなくGT-Rを作ったら」どうなるのかで造られたようだ。デザインは、エクステリアをイタルデザインが担当、インテリアなどを日産が行ったようだ。ジウジアーロ氏のデザインで印象に残っているのは、やはり日本メーカーの、今見ても美しい「いすゞ・117クーペ」で、それにあやかって「117セダン」「117サルーン」と称した、誰が見ても醜いと言われた「いすゞ・フローリアン」の対比であろうか?

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 すっかりグローバルカーとなった日産・GT-Rだが、5人乗りながら、かつてのスーパーカーのような性能を持つことで受け入れられてきている。そのスタイルは決してスポーツカーではなくツーリングカーだが、性能は超一流である。日本国内では1千万円を切る値段で長い間売られてきたことにより、コストパーフォーマンスは最高であった。

 『Nissan GT-R50 by Italdesign』と名付けられたプロトタイプカーは、外装は一目でプロトタイプであると分かる。エクステリア前後は金で縁取られ、インテリアはカーボンを使用している。丸形テールランプは「初代スカイライン2000GT」からの、いや「初代スカイライン1500」からの伝統を意味するのかもしれない。またルーフを下げてきているが、これは金型を破棄したのであろうか? おそらくは量産とは別に、どのあたりか分からないが「叩き出し板金」を使ってきているのだろう。レーシングタイプ「日産・GT-RニスモGT3」を材質も含めて流用しているのかもしれない。同じく「日産・GT-RニスモGT3」をもとにしたパワーユニットは、最高出力720馬力、最大トルク780N・mを可能にした。

 レース専用モデル『ニッサンGT-RニスモGT3』の2018年モデルは2019年1月ごろ発売されるが、パワーユニットはこれがベースのようだ。すると、エンジンをドライサンプ化しているのであろうか。もしもドライサンプであると、低重心・フロントミッドシップに近付くエンジンを配置し、スタイルだけでなく走りもレーシング仕様となる。こうしてみるとベース車両は、むしろ市販のNISUMO仕様ではなくレーシングタイプかもしれない。

 初代スカイラインGT-Rが登場したとき、レーシングカー日産・R380のエンジンをディチューンして、ドライサンプを一般の市販車と同じウエットサンプとしてきたのとは逆になることになる。よりレーシングカーのロードバージョンと言えるイメージがする。なんとも懐かしく思える企画だ。もともとGT-Rはレースに出場することを使命としてきたが、決してレーシングカーではなく、さりげないセダンのGTバージョン(羊の皮を被った狼)だった。それが近年スカイラインの名が取れてからは、レース専用車と言える出来である。

 ここにきて、「5人乗りセダンです」と言っても知らない人もいるのであろう。「この 『Nissan GT-R50 by Italdesign』は、次期日産・GT-Rではなく、あくまでもジョルジェット・ジウジアーロ氏の率いるイタルデザインと日産・GT-Rの50周年を祝ってのプロジェクトである」と日産は強調している。市販されるのかもしれないが、『ニッサンGT-RニスモGT3』が6,000万円ほどであるので、これを下回ることはあるまい。街乗りはあきらめたほうが良いようだ。現在のGT-R市販車には装備されているGPS装置で、「サーキットに着けば、リミッターが自動的に解除される」装置はどうなるのであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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