九州電力、大分・大岳地熱発電所の更新工事に着手

2018年4月3日 22:05

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現在の大岳地熱発電所。(画像:九州電力発表資料より)

現在の大岳地熱発電所。(画像:九州電力発表資料より)[写真拡大]

 大分県玖珠郡九重町の大岳地熱発電所は、1967年に営業運転を開始した、九州最古の事業用地熱発電所である。まる50年以上を経て施設などが老朽化したため、4月2日、その更新のための工事を開始したと九州電力が発表した。

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 なお、全国では2番目に作られた地熱発電所である(第一号は岩手県の松川地熱発電所)。定格出力はもともともは1万2,500kWであったが、更新により1万4,500kWとなる。

 更新された新しい発電所の運転開始は、2020年12月を予定しているという。

 ちなみに九重町は大分県の南西部に位置し、東と南を阿蘇くじゅう国立公園に属する九重連山、西側を耶馬日田英彦山国定公園に囲まれる火山帯である。多くの温泉地にも囲まれており、筋湯温泉という大きな温泉も近くにある。

 大岳地熱発電所のすぐ近くにある八丁原地熱発電所は日本の地熱発電所としては最大の規模を誇り、1号機と2号機がある。同発電所の監視、運転は大岳地熱発電所から行っている。

 半世紀を経る間に地熱発電の技術も向上しているため、この更新工事によってより効率のよい発電が可能になり、電力の安定供給と、CO2排出抑制に貢献することができるという。

 なお、工事の間も既存の施設は基本的には運転を続ける。新しい発電所は古い発電所のすぐ近くに建てられるという計画であり、停止期間は最小限にとどめられるという。

 定格出力は上がるが、それは技術の更新などの結果によるものであり、地下から取り出す地熱流体の量そのものに変化があるわけではなく、近隣の温泉地などに与える影響もほとんどないとのことである。

 同地熱発電所はシングルフラッシュ方式と言い、地熱井から取り出した熱水と蒸気を気水分離機で熱水と蒸気に分離し、蒸気でタービンを回して発電するという方式になっている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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