人類移動の歴史が変わる!定説より4万年以上も早く中東へ移動していたか

2018年1月31日 16:50

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 イスラエルの洞窟で見つかった人間の顎骨の化石により、現生人類が定説より4万年以上早く、アフリカから中東へ移動していたことが判明した。

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 イスラエルとアメリカの国際研究チームが、イスラエルのカルメル山にあるミスリヤ洞窟を発掘調査した際に、顎骨と数本歯を含む顔の骨片の化石を発見。年代を測定したところ、推定17万年前~18年前のものだということがわかった。

 これまで、アフリカ以外で発見された現生人類の化石では、同じイスラエルで発見された、推定9万年前~12万年前のものが最古されていた。そのため、現生人類がアフリカから移動開始したのは、およそ9~12万年前というのが定説だった。

 今回の発見により、現生人類がアフリカから移動した時期が4万年以上も早まることになる。

 現生人類がアフリカから移動した時期については、過去の遺伝学的研究においても、定説より5万年早いことを指摘していたため、それを裏付ける証拠になり得るものだ。

 見つかった化石についての論文の中でも『現生人類の形態と特徴を明確に現している』と指摘されており、現生人類の移動時期の定説が早まることは間違いないだろう。

 他にも、洞窟に住んでいた現生人類が大型の動物を狩りの対象にしていたことや、火を使っていた考古学的証拠も見つかっている。また、刃を鋭利にするために所々を打ち砕いた石器などが近くで見つかっているため、その技法(ルバロア技法)との関連性などについても注目が集まっている。

 アフリカにいた現生人類の起源についても、以前はエチオピアで見つかった約20万年前の化石を最古のものとしていた。

 しかし近年、モロッコ洞窟で発見された現生人類の化石が、約28万年~35年万年前だということが判明。現生人類が少なくとも30万年前に誕生したというアフリカ人のDNA分析結果とも一致するため、30万年以上前に誕生したという説が有力になりつつある。

 今回の発見で現生人類の移動時期の定説を早めるだけではなく、誕生の起源やアフリカからの移動経路、文化など、様々な点で新しい発見をもたらしてくれそうである。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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