【ホンダ・シビック・タイプR】本田宗一郎・F1マクラーレン・ホンダを知らない子供たち

2017年12月22日 06:55

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シビック TYPE R(写真: 本田技研工業の発表資料より)

シビック TYPE R(写真: 本田技研工業の発表資料より)[写真拡大]

■ホンダは世界最高のスポーツカー・ブランド

 東洋経済ONLINEの「ホンダは、どうして「タイプR」にこだわるのか」という記事へのコメントが面白い。ホンダを「シビック・タイプR」を出すような自動車会社と思っていないようだ。ミニバンなどを販売して、唐突に「タイプR」を発売するのは「ホンダにそぐわないと思っている」ようだ。これは「ひねくれた裏返し」のコメントと思いきや、本気でホンダの印象は実用車と思っている。

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 ホンダはバイクで起業して、マン島TTレースなどで名を上げ、4輪車に進出してF1レースに参戦した。創業者である本田宗一郎が存命していたころにF1第2次参戦を果たし、今度はエンジンインストラクターのみであったが、マクラーレンと組んで、最高の戦績を残した。現在マクラーレン・ホンダと言えば、F1界の最高のブランドとして君臨している。そのため第3次参戦の今回の低迷は「驚きと失望」で迎えられている。

 また、第2次参戦当時エースドライバーであったアイルトン・セナは本田宗一郎とも親交があり、その後イモラサーキットに散ったが、このほどのマクラーレンの市販車で「マクラーレン・セナ」と名付けられたように、世界最高のドライバーもまた、マクラーレン・ホンダと共に「最高のスポーツカー・ブランド」として語られているのだ。

■ファンド体質の経営が、ホンダを実用車メーカブランドにしてしまった

 現在の経営体制は、創業者である本田宗一郎の没後、現実のコマーシャリズムに乗ることが最優先と感じたのか、経営陣が「収益を上げ、配当する」ことを最優先課題として取り組んできた結果であろう。間違いとは言えないのだが、中規模の自動車メーカーが特徴をなくし、「商品力」を失ってしまうのは、「物の道理」と言うほかはない。

 経営陣が「決算数字」にのみ関心があるのであろう。「自社のビジネスモデル」を認識できないのは金融業の常で、長期に渡る経営では「ファンド体質」の悪い部分が出て、ビジネスモデルを劣化させてしまう。ソニーは極端な例であろう。「シビック・タイプR」も英国生産で逆輸入であることは、「MRによって分る市場を追いかけるだけの経営」の表れであろう。

 本田宗一郎などの創業者のスピリットは、「最高のクルマをつくりたい」との一貫した意思によるもので、ファンドの「目先、稼ぎたい」との意思とはかけ離れたものだ。ホンダが社会の中でどのように受け取られてきたかを、現経営陣はよく理解したほうが良い。それが持続する「商品価値」を作り上げているのだから!(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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