所得税改革案合意へ 会社員年収800万円から増税 2020年1月実施

2017年12月8日 16:28

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 政府・与党は6日、これまで給与所得控除の見直しで増税となる会社員の年収を800万円~900万円で検討していたが、年収800万円を超える会社員を増税することで合意した。給与所得控除の見直しは、2018年度税制改正で焦点となっていた所得税改革の1つ。基礎控除の引き上げや公的年金控除の見直しと併せて、14日にまとめる与党税制改正大綱に盛り込み、2020年1月より実施する。

【検討が進められていた】政府、高所得の会社員増税の方向で検討へ

 今回の所得税改革は、働き方の違いによる税格差の是正が狙い。誰もが受けられる基礎控除の金額を一律10万円引き上げ、48万円とすることで、自営業者やフリーランスなど請負契約で働く人は減税となるようにした。一方で、給与所得控除は一律10万円引き下げた上で、上限も年収1,000万円以上で控除額220万円から年収800万円以上で控除額190万円にさらに引き下げる。この結果、年収800万円までの会社員は税負担が変わらないが、年収900万円だと年3万円、年収1,000万円だと年6万円の負担増加となる。

 また、今回の所得税改革では公的年金控除の見直しも盛り込まれている。給与所得控除同様、公的年金控除額も一律10万円引き下げ、年金だけで所得が1,000万円を超える場合は、控除額が195万5千円で頭打ちとなる。一方、年金以外の所得が1,000万円~2,000万円ある場合は10万円、2,000万円を超える場合は20万円を控除から減額する。

 増税となる会社員は、公務員を含む給与所得者の約5%程度にあたる約300万人。800万円を超える年収であっても22歳以下の子供や介護世帯、特別障碍者控除を受けている世帯は対象外となる。年金以外の高額の所得がある高齢者20万人も増税の対象となり、増税総額は1,000億円になる。2018年度税制改正大綱では所得税改革の他、出国の際に徴収する「観光促進税」、森林整備費を賄う「森林環境税」など新税も創設される。

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