脳の皺はどのように作られるか、金沢大学がシグナルを発見

2017年11月27日 06:50

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脳の表面に数多く存在する脳回(矢印)。(イラスト:金沢大学発表資料より)

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 人間の脳には皺がある。専門用語では、大脳皮質表面の隆起を、脳回といい、これが脳の皺に見えるものの正体である。今回、金沢大学の研究チームは、これまであまり分かっていなかった、脳回が作られるメカニズムを明らかにした。

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 脳回は高度な器官である。たとえばマウスの脳は脳回を持たない。ヒトやサルにはある。そうしたことから、昔は、脳の皺の多さは生物の知性と密接に関わっており、そこから敷衍して、「脳の皺の数は知能に比例する」という俗説が、広く人口に膾炙したこともあったほどだ。なお、実際には「知能」というものはそんなに単純なものではない。参考例までに一つ、余談を紹介しておくと、イルカの脳の皺はヒトのそれよりも遥かに多く複雑である。

 さて、前述のように、マウスは脳回を持たない。そのために、脳回の研究は、マウスによって行うことができない、という厄介な問題があり、研究はあまり進んでこなかった。だが、金沢大学は、この研究目的の為に、とくにフェレットを実験動物とする研究を進めている。フェレットには脳回がある。脳回を研究するため、フェレットを遺伝子レベルから解析する、独自の研究技術の開発を進めてきたのだ。

 結果として、大脳皮質で脳回が作られるメカニズムの一端は解明することができた。形成において重要な役割を果たすものは、線維芽細胞増殖因子(FGF)シグナル経路というものであったという。これを抑制すると、脳回の形成は阻害される。また、この経路に異常が生じると、脳回の神経細胞の数は減少する。

 脳回の生成に関する研究としては、これは画期的な第一歩と呼ぶべきものである。この研究手法をさらに発展させることにより、ヒトの脳の進化の歴史についても、新たな知見がもたらされる可能性が期待される。

 なお、研究の詳細は、アメリカの科学誌『eLife』のオンライン版に掲載されている。(藤沢文太)

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