TACは自律調整一巡して上値試す、18年3月期2Q累計営業増益で通期2桁営業増益・連続増配予想

2017年11月21日 09:24

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

 TAC<4319>(東1)は「資格の学校」運営を主力に、中期成長に向けて新事業領域への展開を強化している。18年3月期第2四半期累計が営業増益で、通期2桁営業増益・連続増配予想である。株価は高値圏でやや乱高下の展開だが、安倍首相が掲げる「人づくり革命」関連としても注目され、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。

■財務・会計分野を中心に「資格の学校」を運営、新規事業領域も展開

 財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)、その他分野(情報・国際、医療・福祉など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営している。また法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。

 17年3月期セグメント別売上高構成比(連結調整前)は個人教育事業60%、法人研修事業20%、出版事業16%、人材事業3%だった。

 M&Aも積極活用して、医療事務スタッフ派遣事業、診療報酬請求事務請負事業、介護系資格取得教室、企業人材・企業経営アドバイザー検定および対策講座など、新事業領域への展開を強化している。17年9月には一般社団法人日本金融人材育成協会を設立した。

■四半期業績には季節変動要因

 四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係などで季節変動の特徴がある。第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)の公認会計士・税理士講座は、翌年受験のための受講申込が集中する時期となるため、現金ベース売上高が突出して多くなるとともに、翌四半期に向かって前受け金として繰り越されることから、発生ベース売上高の増加が少なくなる傾向がある。

 また第4四半期(1~3月)から第1四半期(4~6月)にかけては、夏・秋の本試験時期に向けて全コースが出揃う時期にあたり、稼働率の上昇から前受金戻入額が増加することを通じて発生ベース売上高が増加する傾向にある。こうした売上の傾向に対して、売上原価や営業費用は毎月一定額計上されるため、四半期ごとの営業利益が変動しやすい。

■18年3月期2Q累計は営業増益

 11月6日発表した今期(18年3月期)第2四半期累計(4~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.7%増の111億15百万円、営業利益が6.2%増の10億39百万円、経常利益が2.9%増の9億93百万円、純利益が4.2%減の6億62百万円だった。

 売上面は個人教育事業が3.2%増収、法人研修事業が2.5%増収、出版事業が0.6%増収、人材事業が4.6%増収と堅調だった。広告宣伝費や人件費など販管費の増加を吸収して営業増益だった。差引売上総利益率は44.6%で0.9ポイント上昇、販管費比率は35.3%で0.7ポイント上昇した。純利益は特別利益が一巡して減益だった。

 教育事業の受講者数は、個人が0.3%増の9万1089人、法人が19.8%増の5万1450人、合計が6.6%増の14万2539人だった。公務員・労務分野が14.7%増、金融・不動産分野が9.4%増、情報・国際/医療・福祉/その他分野が9.4%増、法律分野が5.3%増と好調だった。財務・会計分野は2.4%減、経営・税務分野は3.3%減だった。

■18年3月期2桁営業増益・連続増配予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は売上高が前期(17年3月期)比2.3%増の209億円、営業利益が13.6%増の8億10百万円、経常利益が12.6%増の7億80百万円、純利益が10.2%減の4億40百万円としている。配当予想は1円増配の年間5円(第2四半期末2円、期末3円)で予想配当性向は21.0%となる。

 純利益は特別利益が一巡して減益予想だが、各事業とも堅調に推移し、適切な経費コントロールも寄与して2桁営業増益・経常増益予想、そして連続増配予想である。通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が53.2%、営業利益が128.4%、経常利益が127.4%、純利益が150.7%である。四半期業績が変動する季節要因があるが、通期ベースでも好業績が期待される。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価は10月の戻り高値圏300円近辺から反落したが、250円近辺から切り返している。高値圏でやや乱高下の展開だが、自律調整が一巡したようだ。

 11月20日の終値292円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円78銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS267円76銭で算出)は1.1倍近辺である。時価総額は約54億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。安倍首相が掲げる「人づくり革命」関連としても注目され、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
個人投資家向け「IRセミナー&株式講演会」を10月25日(水)、東洋経済新報社9階ホールで開催!
【注目銘柄】ロック・フィールドは日柄調整完了して上値試す、18年4月期増収増益予想で8月既存店売上も好調(2017/09/13)
【編集長の視点】パイプドHDは今期2Q決算発表を前に1Qの2ケタ増収益・高利益進捗率業績を見直して急反発(2017/09/13)
【株式評論家の視点】ラクオリア創薬のピラゾロピリジン誘導体は日本でも特許査定受ける、需給悪化懸念は後退(2017/09/13)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事