地下街の空調をAIが制御しCO2半減へ、神戸で開発始まる NTTが技術協力

2017年11月19日 06:54

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 神戸大学らは17日、2017年度から2019年度までの3年間、神戸の中心市街地にある三宮地下街「さんちか」にて、人の行動を予測して空調を制御する次世代技術の開発を行うと発表。消費電力を最小化し、省エネ・CO2の約50%削減を目指す。NTTがAIを用いた人流予測および最適機器制御技術をもって協力する。

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 今回開発を進めるのは、人がいる場所に快適な風を送る空調技術。人が多い場所、少ない場所を予測し、各場所に必要な最小熱量と換気量を計算後、その近くに存在する快適な空気を気流で搬送する技術だ。従来用いられてきた空間への均一的な空調とは異なり、必要最小限のエネルギーで換気などを行える。

 具体的には、まず人の分布からその行動を予測。気流と温度分布で利用できる空気を判別し、さらに体表面温度計測で人の状態を類推して、気流制御により心地よい風を運ぶ。計測に利用される人流センサや気流センサ、サーモカメラなどはAIが制御する。

 このように人流予測および気流予測や空調・換気制御に関する技術にAIを活用したリアルタイムなデータ収集、分析、制御手法を適用する見込み。その実効性を検証しながら、技術の確立を図る。

 開発が行われる「さんちか」は、神戸の都心であり大規模な再整備が進行している三宮地区の要所に位置する。ここでの取り組みをきっかけとして、将来的には都心全体のスマート化、つまりその時々の状況に最適化するシステムの構築につなげていきたいという。

 屋外への開放部がある地下街や駅などは一般的な建物と比べ冷暖房の負荷が大きい。しかし人の行動が複雑なため効率的な冷暖房や換気の方法は定まっていなかった。ところが近年のIoT技術の発達といった情勢の変化により、これまで手に入らなかったデータの収集が可能になったことが、当事業の背景にはある。

 事業には神戸大学やNTTのほか、日建設計総合研究所、創発システム研究所、神戸市、神戸地下街が参画、協力している。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る

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