NASA、ニューホライズンズ探査機がフライバイするカイパーベルト天体の愛称募集中

2017年11月13日 07:18

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記事提供元:スラド

NASAのニューホライズンズ探査機のミッションで、2019年1月1日にフライバイを実行するカイパーベルト天体(KBO)「(486958) 2014 MU69」の愛称募集が行われている(キャンペーンサイトNASAの記事Ars Technicaの記事)。

MU69は冥王星の16億km先、地球から65億km以上離れており、これまでの観測ではほぼ同サイズの2つの天体が連星軌道を周回しているか、結合して1つになっているかのいずれかとみられている。そのため、今後2つ以上の仮符号が割り当てられる可能性もある。カイパーベルト天体は公式な名称が国際天文学連合(IAU)へ提案される前に非公式な名称がつけられることが多く、NASAではニューホライズンズによるフライバイ実施後、より詳しい情報が得られてからMU69の公式名称を提案する計画だという。

愛称募集キャンペーンはニューホライズンズサイエンスチームのMark Showalter氏が主導し、SETI Instituteがホストして実施されている。キャンペーンでは新たな候補を提案するほか、既に提案されている候補を選んで投票することも可能だ。候補提案フォームには名称を入力する欄に加え、提案理由と名称に関する情報の得られるWebページのURLを入力する欄が用意されている。キャンペーンは太平洋時間12月1日正午(日本時間12月2日午前5時)で終了する。なお、募集要項によれば、提案者や投票者に賞金や賞品が授与されることはなく、表彰も行われない。愛称決定に当たってニューホライズンズチームとNASAは投票結果を考慮するものの、拘束はされないとのこと。
11月11日時点で提案済みの候補は以下の通り。候補はペアになっているものや世界各地の創造神、SF作品に登場する事物といったものが多いようだ。投票の途中集計によれば「Mjölnir」と「Z'ha'dum」の人気が高い。 Año Nuevo (スペイン語の「新年」) 
 Camalor (SF小説「Camelot 30K」で描かれるカイパーベルトの架空の都市) 
 Chomolungma, Sagarmatha (エベレストのチベット語とネパール語での名称) 
 Huginn & Muninn (フギンとムニン。北欧神話の神オーディーンに世界中から収集した情報を知らせる一対のワタリガラス) 
 Kibo, Mawenzi, Shira (キリマンジャロの3つの山頂、キボ峰、マウエンジ峰、シラ峰) 
 Mjölnir (北欧神話の神、トールのハンマー) 
 Olaf (北欧の伝統的な人名で、歴史的遺産といった意味を持つ。北欧の名前は凍り付いた天体に適しており、MU69は太陽系誕生時の遺産でもある) 
 Pangu (盤古。中国神話の天地創造神) 
 Patagonia (南米のパタゴニア地域。MU69の詳細な観測が行われた地であり、南米最南端のホーン岬は探検の歴史のランドマークでもある) 
 Tangotango & Tawhaki (タンゴタンゴとターワキ。マオリ神話に登場する天女とその夫であり、タンゴタンゴを天地創造神とするバージョンもある) 
 Tiamat & Abzu (ティアマトとアブズ。バビロニア神話に登場する海水と淡水の神で、2人の結婚により宇宙が創造される) 
 Ultima Thule (遠く離れた未知の土地。Thuleは中世の文学や地図に描かれた極北の地であり、Ultima ThuleはThuleをさらに超えた未知の世界である) 
 Uluru (ウルル。エアーズロックのアボリジニによる呼称) 
 Z'ha'dum (テレビドラマ「バビロン5」に登場する架空の辺境惑星) なお、先日まで一番人気だったのは「Peanut, Almond, Cashew」だが、「Pluck & Persistence」「Sagittarius」とともに候補から外されている(変更履歴)。

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