東大の暗黒物質観測プロジェクト「XMASS」、2018年末に終了へ

2017年11月2日 19:01

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記事提供元:スラド

 東京大学宇宙線研究所などが行っていた暗黒物質の観測プロジェクトが来年末で終了することになったそうだ(読売新聞)。

 このプロジェクトはXMASS実験と名付けられており、岐阜県飛騨市神岡鉱山内の地下1000mに検出器を設置して2010年より運用を行っていた(過去記事)。この装置の大型化を行う後継計画(XMASS-1.5)が進められていたものの、その目処が立たなかったことからプロジェクトが終了となるという。また、記事では約30億円の改修計画の予算が認められなかったともされている。今後はイタリアで2019年開始予定の実験に合流して研究を継続するという。

 東京大学宇宙線研究所将来計画検討委員会 最終報告書によると、海外ではすでにより高感度な施設が登場していることや、現在使われている検出器の改修では高感度の実現に限界がある点、今後暗黒物質の探索については「世界で一つしか作れないような大型検出器が必要となり、いずれ1つの国際共同実験が発展しそれに統合されることが想定される」との想定から既存施設の改修は取り下げるべきと言う提言も出ている。

 ただ、XMASS実験の終了により、今までこれに関わっていた研究員や研究グループの海外における研究活動に制限が出る可能性なども危惧されている。

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