海藻「ダルス」を化粧品に加工 ソワレ・インターナショナルの試み

2017年10月29日 20:55

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海藻のダルス。

海藻のダルス。[写真拡大]

 冷涼な海域に生育する、ダルスという海藻がある。日本の周辺では北海道近海に自生しており、函館の真昆布漁においては実質的に「昆布を取る邪魔になる海の雑草」という扱いで廃棄されていたのだが、これを原料とする化粧品を、兵庫県のソワレ・インターナショナルが開発した。

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 ダルスはダルス科ダルス属に分類される紅藻類である。栄養価は豊富で、フィコエリスリン、フィコシアニン、クロロフィルなど美容成分として知られる成分も多く、カナダでは食用にする文化があるが、日本ではほとんど無価値なものとみなされてきた。ごく最近になって、その食用価値に注目する動きが出てきてはいるが、普及しているというほどのものではない。

 そもそも、ダルスにはタンパク質由来の臭気があり、食用以外の活用は難しいと考えられていたのだが、ソワレでは、これを粉末化し、ほかの美容成分と混ぜ合わせることで臭いを抑えることに成功した。

 ソワレが開発したのは、美容液、美容クリーム、化粧水の3つである。高い保湿効果や、抗酸化力などが見込まれるという。

 ちなみに、海藻を利用した化粧品というものそれ自体は、そう珍しいものではない。海藻を用いた美容を、アルゴ(海藻)テラピーと呼ぶとする考え方もある。

 北海道大学の推計によれば、北海道近海に自生するダルスは1,000から2,000トン。前述のように、放置されるか捨てられるかしていたわけだが、これを大規模に商業化できるなら、漁業者の安定的な収入源となることが期待できる。ソワレは既に、函館の漁業者と提携し、ダルスの安定的な買い付けを行っている。

 ソワレは韓国や香港にも販売拠点を持ち、業務用化粧品も手掛けており、ダルスを用いた商品についても、国内外のエステサロン向けに販路を拡大していく方針だ。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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