Linuxカーネル開発コミュニティ、著作権トロール対策を議論

2017年10月20日 07:21

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記事提供元:スラド

headless曰く、 ある日突然Linuxカーネル開発者が著作権トロールに変わるという懸念を払拭するため、Linux FoundationのTechnical Advisory Boardは16日、Linuxカーネルにおける著作権行使に関する声明「Linux Kernel Enforcement Statement」のドラフトを発表した(Linux Kernel Monkey Logの記事[1]記事[2] FAQPhoronix)。

 Netfilterコア開発チームの元議長Patrick McHardy氏がさまざまなLinuxディストリビューターのライセンス違反を見つけ、ドイツで密かに訴訟手続きをとって多額の金銭を要求していたことが判明し、著作権トロール問題が表面化した。違反の内容は簡単に修正可能なものだが、McHardy氏は違反時にライセンスを即時停止するというGPL-2.0の条項を用い、金銭的被害の補償を要求していたとのこと。

 Linuxカーネル開発コミュニティの目標はライセンスの順守であり、違反を罰することではない。著作権は貢献者各自が保持しているが、個人が金銭的な利益を得るために著作権を行使するのはコミュニティの意思に反するとして、McHardy氏の説得に努めたという。しかし、McHardy氏を翻意させることはできず、Netfilterコア開発チームではMcHardy氏のメンバーシップを停止する措置をとっている。

 Linux Kernel Enforcement Statementでは、ライセンス違反の通知を初めて受けた場合、30日以内に違反状態を解消すればライセンスを回復できるといったGPL-3.0の条項を追加の許可条項として取り入れている。ただし、Linuxカーネルのライセンスは引き続きGPL-2.0を使うことになる。Linux Kernel Enforcement Statementのドラフトは現在、kernel/git/gregkh/driver-core.gitのdriver-core-enforcement-4.14-rc6.tar.gzに収録されている。

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