「パワーカップル」増加傾向、消費牽引を阻害するものとは

2017年10月1日 21:27

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記事提供元:エコノミックニュース

近年「パワーカップル」という言葉が注目されている。消費市場、特に住宅・不動産領域で使われ“購買力のある共働き夫婦”を指し、都心の高額マンション市場など個人消費の牽引役としての期待が寄せられている。

近年「パワーカップル」という言葉が注目されている。消費市場、特に住宅・不動産領域で使われ“購買力のある共働き夫婦”を指し、都心の高額マンション市場など個人消費の牽引役としての期待が寄せられている。[写真拡大]

 1億総活躍社会を目指し、「女性の活躍促進」も強く推し進められる中、ますます共働き夫婦は増えている。そんな中、ニッセイ基礎研究所は2013年頃から注目され始めた「パワーカップル」世帯の動向における研究を発表。「パワーカップル」とは消費市場、特に住宅・不動産領域で使われ“購買力のある共働き夫婦”を指し、住宅市場などを見ると、都心の高額マンション市場など個人消費の牽引役としての期待が寄せられている。

 本稿でいうパワーカップルとは、夫婦ともに年収700万円以上という共働き世帯を指し、子どものいないDINKS(Double Income No Kids)、子どもがいる家庭も含む。ちなみに、平成28年の労働力調査によると、共働き世帯(夫婦ともに就業者の世帯)は1,389万世帯であり、総世帯の27.8%を占める。その内、年収700万円以上の共働き世帯はわずか1.8%(25万世帯)だが、その消費力による影響は大きく、近年増加傾向にある。

 これによると、パワーカップル妻は30歳代や50歳代で比較的多い一方、子育て真っ盛りの40歳代ではキャリアを中断する女性も少なくないようだ。女性のキャリア形成は、夫の長時間労働や社会的風潮など外的要因の影響が大きく、自分のペースでキャリアを形成していくことは困難な場合が多い。

 また、妊娠・出産を経て育児休業や時間短縮勤務などを利用すると、昇進・昇格とは縁遠い「マミートラック」に固定されがちな状況もある。現在のところ、女性が働き続けるには「マミートラック」か、管理職コースを目指すかという二択になりかねず、これが少なからず子育て期の離職にもつながる。不本意な理由による子育て期の離職は、労働者個人にとっても社会 全体にとっても不利益となる。

 現在「働き方改革」「女性活躍推進」など、働き方の多様化に向けた政策が進められている が、今後キャリアコースが多様化し、働き方を自由に選べるようになれば、生涯に渡って収入や時間を得やすくなり、消費活性化にも大いにつながるだろう。社会情勢により、今後も共働き夫婦の増加が予想されるなか、旧来の職業感や固定観念を超えた枠組みでの継続した取り組みが急務と言えそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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