ゼリア新薬工業は自律調整一巡感、18年3月期増収増益・増配予想

2017年9月26日 09:03

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期増収増益・増配予想である。株価は7月高値後の自律調整一巡感を強めている。自己株式取得拡大も評価して上値を試す展開が期待される。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。

 また子会社ティロッツ社が15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。

 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z-206、協和発酵キリンと共同開発)した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)や、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z-360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z-100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z-213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z-206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z-338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■18年3月期増収増益・増配予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が12.7%増の50億円、純利益が7.2%増の38億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.0%となる。

 第1四半期(4~6月)連結業績は売上高が前年同期比3.1%減収、営業利益が65.3%減益、経常利益が63.8%減益、純利益が50.5%減益だった。医療用医薬品事業は後発医薬品使用促進の影響、コンシューマーヘルスケア事業は競争激化の影響で、いずれも減収となった。またEAファーマとの新規プロトンポンプ阻害剤(Z-215)ライセンス契約終了に伴って、清算に係る費用を研究開発費として計上したため大幅減益だった。特別利益では投資有価証券売却益が増加した。

 第1四半期は減益だったが、通期は増収増益・増配予想である。医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの寄与、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドの市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は自律調整一巡感

 なお6月16日発表した自己株式取得に関して8月4日に拡大を発表し、取得株式総数の上限360万株(従来は180万株)、取得価額総額の上限72億円(同36億円)、取得期間17年6月19日~17年11月2日(変更なし)とした。

 株価は7月の年初来高値2124円から反落し、その後は上げ一服の形だが、自律調整一巡感を強めている。

 9月25日の終値2026円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS72円34銭で算出)は28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1192円73銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約1076億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。自律調整が一巡し、自己株式取得拡大も評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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