トヨタはEV技術世界No.1も実用レベルはまだ EVは未だ金持ちのお遊びレベルか

2017年9月21日 21:03

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トヨタ・オーリス・ハイブリッド (c) 123rf

トヨタ・オーリス・ハイブリッド (c) 123rf[写真拡大]

 トヨタ自動車は「GR」ブランドを創り、スポーツマインドを前面に押し出すこととしている。「これはEVの世界潮流に逆らうもので、EV技術の開発に遅れているのではないか?」とトヨタの販売政策に懸念の声も聞こえる。

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 トヨタはHVを打ち出す一方で、EVを一向に販売する姿勢を示さないために、日産のEV攻勢に押されるトヨタ販売店サイドでは、懸念の声も聞こえる。トヨタのEV開発陣からもHV開発チームに対して、冷遇される雰囲気の中から、懸念の声さえ聞こえてくる。

■HV技術にEV技術は含まれる

 本当にトヨタはEV技術に遅れているのであろうか?これをトヨタの販売店サイドが本気で懸念しているとすれば、これはこれで大きな問題だ。なぜかと言えば、トヨタHVを多数売りながら、HVとEVの技術的つながりを販売店サイドが理解できていないことになるのだ。

 誰に言われなくともHVはエンジンとモーターのトルクをミックスしたものである。当然にエンジン部門では熱効率を上げる努力が続いている。アトキンソンサイクルをミラーサイクルで実現したり、放熱性などを詳細に検証して、ノッキングを遅れさせることで圧縮比を上げるなど、涙ぐましい努力を積み重ねて、熱効率41%に達するエンジンが最近発売された。

 モーターについては、導線の体積当たり巻き数を増やして、コンパクトで高出力のモータを作るため、導線の断面を○でなく□にするなどしている。回生ブレーキと油圧ブレーキを効率良く作動させるため、多くのシチュエーションに対応出来るようにしている。効率よく回生できるブレーキコントロール技術では、トヨタは世界No.1であろう。

 EVはバッテリーの性能が第一である。長年、HVを販売してきた実績で、中古車となるとバッテリーの劣化などで値崩れしている現実を良く知っているはずだ。まだまだEVに主力を置くことは現実的でないことをトヨタはよく知っている。

 トヨタの販売店サイドでは、これらの技術的背景を理解できていないことから、不安視する声が上がるのだ。販売政策についても、ディーラーの営業マン、整備士たちは理解できていないと強く感じる。メーカーの「お客様相談室」あるいはディーラーの問い合わせに答える窓口さえ、極端な「技術音痴」のレベルにあると言える。EV戦略などについて不安視する言動が出るのは、販売窓口の技術レベルの低さからくるものなのだ。早急に技術レベルの回復が必要だ。

■販売現場の技術レベルが低すぎる

 販売店サイドで、HVのメカニズムを聞いてみると、営業マンはもちろん、整備士もまともな答えが出来ない。トヨタのHVの要の「電気式CVT」の説明が出来ないどころか「アトキンソンサイクル」ましてや「ミラーサイクル」との関係性などは、全くわかっていない。

 HVのカタログ表示のエンジン馬力とモーター馬力を足すと、システム馬力よりもかなり大きな値となる。システム馬力はかなり下回るのだが、その理由を尋ねると「お客様相談窓口」がクレーム扱いとしてごまかそうとしてしまう。

 この程度の技術レベルでHVを見ているので、EVを作る技術としてトヨタが世界No.1であることも見抜けないのだ。今すぐにでも世界最高レベルのEVをトヨタは造ることが出来ると見るべきなのだ。しかし、問題の多い技術レベルのEVがあることを、トヨタが一番知っているのだ。言い換えると、日産やテスラのEVは、現在のところ特殊な条件での使用に限らないと、広く普及はさせられない技術レベルとトヨタは考えているのだ。

 その第一の理由はバッテリーの耐久性だ。中古市場ではHV・EV共にバッテリーを交換しなければ実用にならない状況で、値段はかなり低くなってしまうのだ。これはバッテリーの実用性がまだ確立できていないことを示し、HVを多く販売してきたトヨタとしては、EV単独技術では実用車とは認めがたいと考えているのであろう。

 販売店サイドの技術レベルの低さの中で、EV専用車を購入する人は、「短期利用に限るが、それなりに覚悟が出来ているお金持ち」と言えるかもしれない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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