横浜が3者連続ホームランでサヨナラ勝ち 多くのヒーローが誕生

2017年8月23日 08:26

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■まさにミラクル

 22日、横浜スタジアムでプロ野球の横浜DeNAベイスターズ対広島東洋カープの試合が行われた。試合はベイスターズが先制するもその後はカープの流れで、7回終了時点で5-1と、カープ有利のゲーム展開だった。ベイスターズ打線はカープ野村の攻略の糸口さえつかめず、凡打の山を築いていった。

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 しかし9回、ベイスターズ打線がいきなり息を吹き返した。柴田が粘ってヒットを打つと、次の筒香が1点差に追い上げる超特大アーチを放った。ここで回ってきたのがロペス。ここまで野村と全く合っていなかったが、ピッチャーが今村に交代。するとなんと一振りで同点にするホームランをレフトスタンドに放り込んだ。

 圧巻だったのが次の打者宮崎。同点になりがぜん勢いづいたベイスターズファンは彼に何とか塁に出てほしいという願いがあっただろう。しかし宮崎はそれを大きく飛び越し、まさかのホームランを放った。クリーンアップの3連続ホームランでベイスターズが一気に逆転サヨナラ勝ちをもぎ取った。

 この試合はBSで放送していたが、皮肉なことに9回表の攻撃で放送終了となった。スポーツニュースなどであっけに取られているファンは少なくなかったはずだ。

■8回の裏からの伏線

 しかし9回の裏に劇的勝利をもぎ取る前の伏線はきちんとあった。流れが若干変わったのが8回表からだった。ピッチャーはルーキーの尾仲に託された。恐らくこの選手交代により、「敗戦処理か」と諦めモードに入ってしまったファンも少なくなかっただろう。しかし尾仲は違っていた。テンポよく淡々と投げ8回の守りを0に抑えた。

 そしてその裏の攻撃。点差を付けられていたベイスターズだったが、キャッチャーの嶺井が意地のホームランを放った。まさに野村の隙をついたホームランと言えただろう。点差が3点差になっただけだったため、さほど印象に残ったホームランではなかった。ところがこのホームランがこの試合に与えた影響は大きかった。

 8回の裏は嶺井のソロで1点止まりだったが、9回の表に再びマウンドに立った尾仲は8回以上にテンポよく球を放った。三振、三塁ゴロ、三振と三者凡退に斬って取り完全に流れをベイスターズに呼び込んだのだ。

■多くのヒーローが誕生

 試合後、尾仲、筒香、ロペス、宮崎と4人もの選手がお立ち台に立った。確かに尾仲のピッチング内容は完璧だったし、9回裏のホームラン劇場を考えるとクリーンアップ3人は立たせたいところだっただろう。しかし「嶺井を上げてもよかったのではないか」と思ったファンも少なくないだろう。ラミレス監督は筒香がホームランを打つ前に粘ってヒットを放った柴田についても称賛していた。

 つまりヒーローが多く、誰を選べばいいか悩むという状況だったのだ。こういう「何が起こるか分からない試合がある」から野球は面白いのだと実感させられた試合だった。

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