北恵 Research Memo(3):住宅市場全般が好調に推移したことから足元の業績は好調

2017年8月21日 15:13

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記事提供元:フィスコ


*15:13JST 北恵 Research Memo(3):住宅市場全般が好調に推移したことから足元の業績は好調
■業績動向

● 2017年11月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況

北恵<9872>の2017年11月期第2四半期(2016年12月-2017年5月)の業績は、売上高が前年同期比10.2%増の27,409百万円、営業利益が同20.5%増の357百万円、経常利益が同17.2%増の407百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同23.1%増の244百万円となった。住宅市場全般が好調に推移したことから前年同期比で増益となったが、計画に対しても上回っておりおおむね好調な決算であったと言える。

売上総利益率は前年同期比0.3ポイント減の9.5%とわずかながら低下したが、主な要因は円安等の影響により一部商品の仕入コストが上昇した分を完全に吸収しきれなかったことによる。特に大手のハウスビルダーとの契約は通年の場合が多く、期中の原価アップを即座に販売価格へ転嫁するのは難しいようだ。ただし時間の経過とともに原価の上昇分は徐々に販売価格に反映されるケースもあり、今後は売上総利益率が改善する可能性はありそうだ。

一方、販管費は人件費やその他経費の抑制に努めたことから金額では108百万円増となり対売上高比率は8.2%(前年同期8.6%)へ低下した。ただし、この販管費の増加分の半分近く(約40百万円)は、税制改正に伴う外形標準課税の増加分によるものであり、実質的な増加は68百万円ほどにとどまっていたことになる。

結果、営業利益率は前年同期比で0.1ポイント改善し1.3%となり、増収による効果もあって営業利益は前期比20.5%増となったが、既述の外形標準課税分を考慮すれば、実質の増益率はさらに高かったことになる。営業利益が増益となったことから経常利益は17.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益は23.1%の増益となった。

(2) 商品別状況
木質建材の売上高は3,442百万円(前年同期比18.2%増)となった。特に近畿地区でドアやクローゼットなどのリフォーム向け需要が強かったが、東日本やその他の地域では新築向けが堅調に推移した。また一部商品が施工付き販売へシフトしているため実質的にはもっと高い伸びであったと言える。非木質建材の売上高は1,954百万円(同12.4%増)となったが、サイディング等の外壁材が好調であった。

合板の売上高は1,179百万円(同12.9%増)となったが、プレカットの需要が増加したことによりラワン合板等の売上高が増加した。またDIY向けに商品供給を強化したことも増収の要因。木材製品の売上高は1,209百万円(同8.4%増)となったが、主にプレカットの構造材が堅調に推移した。また中小工務店向けに基礎部分から上で使用する木材製品を一括供給する体制を強化したことも増収の要因だ。

住宅設備機器は6,735百万円(同11.0%増)となったが、特に水まわり製品(キッチン、バス、トイレ、洗面台等)が好調であった。注力している施工付販売は11,159百万円(同9.2%増)と堅調に推移したが、通常の外壁工事に加えて水まわり関係の工事が良かった。その他売上高は1,728百万円(同3.1%減)と前年同期比で減収となったが、一部の防湿シートがスペックアウトしたことが主な要因。また同社が独自に企画・開発したオリジナル商品の売上高は1,027百万円(同19.5%増)となったが、新たに市場投入した新製品が比較的好調であった。

(3) 地域別状況
地域別売上高は、近畿9,361百万円(前年同期比8.7%増)、九州・中四国3,990百万円(同7.9%増)、中部2,614百万円(同12.3%増)、東日本11,442百万円(同11.8%増)であった。このうち首都圏の売上高は9,337百万円(同9.8%増)であり、構成比は34.1%とほぼ前年同期並みの水準であった。

注力中の施工付販売もすべての地域で増収を達成したが、特に九州地区が予想以上に好調であった。これは、熊本地震の復興需要を狙ってローカルの工務店向けに積極的な営業を行ってきたところ、同社の施工付販売への評価が高まってきたことが増収につながった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)《HN》

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