元五輪代表エースストライカー 鈴木武蔵の現在地

2017年8月20日 20:53

印刷

 8月18日に夏の移籍市場が閉まるのを前に、Jリーグもシーズン途中での移籍が活発に行われた。

 中でもアルビレックス新潟からJ2松本山雅への期限付き移籍となった鈴木武蔵は大きな注目と期待を集めている。かつて、ヨーロッパのビッグクラブからのオファーもあった大型ストライカーはJリーグでプロとしてのキャリア6年目を迎えた。

■余りある才能を活かせるか

 2015年以来、2度目のJ2への期限付き移籍となる。

 前回の水戸ホーリーホック在籍時は6試合出場・2得点。今シーズンはJ1リーグでここまで17試合で1得点。途中出場が殆どで、最近ではベンチからも外れている。

 1年前のリオデジャネイロ五輪、初戦のナイジェリア戦後半ロスタイム。相手ゴール前での不格好ともいえる豪快な切り返しでディフェンスを翻弄、左足でのゴール。オリンピックという大舞台で魅せた鮮やかなパフォーマンスは鈴木武蔵の魅力を体現したものと言っていいだろう。さらには今季、ホームでの浦和戦。後方からのパスをヘディングで挙げた得点も、屈強なその身体能力をいかんなく発揮してのものだった。

 内に秘めている、大きすぎる可能性を未だ十分に発揮できていない、そう感じているサッカーファンは少なくないはずだ。

■J1昇格の切り札として松本へ

 日の丸を背負いブラジルのピッチで共に戦った同世代のメンバー、その大半が所属クラブでレギュラーを掴んでいる。五輪での戦い経て、フィールドを海外へと移した選手も存在する。そして贔屓目に見ても、鈴木武蔵の置かれている環境はそのどちらでもない。

 近年では、武蔵の放つ陽気さや、ピッチ以外でのタレント性がメディアに取り上げられるかわりに、選手としての活躍が伝わってくることが少なくなっていることも事実である。

 J2リーグ8位と、昇格プレーオフ圏内に迫る松本山雅ではこれまで以上に、ピッチに立つことを求めなければならない。そして唐突に訪れた2度目のJ2への「挑戦」。目に見える結果を残すことでサッカープレイヤーとして登り詰めるための数少ないチャンスを活かすことが出来るか。

 かつてないほどの実力が均衡している今季のJ2での戦いは間違いなく、厳しい道のりではある。ただ、それらを乗り越えた先にある、日本屈指のアタッカーへと変貌する扉は、まだ閉ざされていない。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事