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時間が経つほどに強度を増していく 古代ローマのコンクリートの驚異
ローマのパンテオン。[写真拡大]
一般に、コンクリートの寿命は50年から100年程度とされている。コンクリートと一口にいっても色々なコンクリートがあり、また劣化が生じる原因も様々である。しかし、歴史的事実として、古代ローマ時代に作られたコンクリートで、まだ現役のものが存在する。これは何故なのか、ということを、アメリカの研究チームが明らかにした。
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そもそもコンクリートというと近代建築というイメージがあるが、それはある意味では正しくある意味では正しくない。コンクリートは、古代ローマにおいて既に実用化されていた(あえて区別するときはこれをローマン・コンクリートという)。だが、その製法はローマの衰退後一千年以上にも渡って忘れ去られ、ヨーロッパでは石造建築が主流となった。コンクリート工法が近代において蘇るのは、実に18世紀のことである。
古代ローマのコンクリート建造物で現存するものとして有名なものの一つに、イタリアの首都ローマにあるパンテオンがある。118年から128年にかけ、時の皇帝ハドリアヌスが、火事で失われていたものを再建し、それが現代に残っている。
古代ローマ時代には鉄筋という技術は無かったので、パンテオンは無筋コンクリート工法による世界最大のドームであるとされる。何故、2,000年近くも前のコンクリートが、寿命を保っていられるのか?
アメリカ・エネルギー省ローレンス・バークレー国立研究所の研究チームの分析によると、その秘密は、ローマン・コンクリートが「海水」を混ぜて作られていたことにあったらしい。海水と石灰と火山灰が起こす化学反応によって、トバモライトと呼ばれる結晶が生成される。この反応は、実に1,000年以上にも渡って続き、「成長する岩のように」コンクリートの強度を増していくのだという。
なお、研究の詳細は『American Mineralogist』誌オンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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