「モンキー」生産終了でわかった、50cc原付バイクが日本で滅亡する日

2017年7月29日 20:38

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記事提供元:エコノミックニュース

「平成28年排気ガス規制」クリアが困難となったことで、生産を終了する「ホンダ・モンキー」、写真は最終の特別モデルで500台の「50周年スペシャル」限定車、抽選販売となる。価格43.2万円(税込み)

「平成28年排気ガス規制」クリアが困難となったことで、生産を終了する「ホンダ・モンキー」、写真は最終の特別モデルで500台の「50周年スペシャル」限定車、抽選販売となる。価格43.2万円(税込み)[写真拡大]

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 1985年、日本国内の二輪車の保有台数は約1820万台だった。それが2015年には約1150万台に減った。二輪トップのホンダは、このような状況のなか、2017年3月開催の「東京モーターサイクルショー」同社ブースで開催したプレスカンファレンスで、記者たちに向けてレジャーバイク、ホンダ「モンキー」の生産終了を発表した。

【こちらも】終売のホンダ原付モンキー、最終モデル「50周年スペシャル」販売へ

 ホンダ・モンキーは、いわゆる原付(第一種原動機付き自転車、エンジン排気量が50cc以下)バイクだ。1967年(昭和42年)に発売され、2016年末までの累計生産台数は、シリーズ全体で約66万台にのぼるロングセラーモデルだ。50年も生産が続いたホンダ・モンキーがなくなるという公式発表は、その場にいた記者やジャーナリストに衝撃を与えたのだった。

 生産終了の背景にあるのは2016年に施行となった「平成28年排気ガス規制」だ。「Euro4」規制値と同等のかなり厳しい内容であることは知られていた。が、その影響であのモンキーが姿を消すことになるとは、想像していなかった。実は、この平成28年規制は原付一種バイクだけでなく、すべての二輪車に影響を及ぼすようなのだ。

 なお、「平成28年規制」は、2016年10月1日から発売された新型二輪車にすでに適用されており、継続生産車や輸入車にも、2017年9月1日から適用される。つまり、2016年10月以降に発売された新しいバイクは、すでに規制をクリアしている。が、継続生産モデルで、今年9月1日までにこの規制をクリアできないモデルは、モンキーのように「8月いっぱいで生産終了」となるわけだ。それが意味することは、「遂に50ccエンジンバイクが、排ガス規制に対応するのが難しくなった」という結論に達したということなのだ。

 なお、ホンダ・モンキーの最終のデルは500台限定で、8月21日まで注文を受け付け、予定台数を上回る注文が入った場合、抽選による販売となる。

 四輪車は世界的に1960年代から排出ガス規制が始まり、1976年(昭和51年)、1978年(昭和53年)に一気に規制値が厳しくなった。しかし、内外のメーカーの懸命な技術開発で乗り越えてきた。

 しかし、排気量50cc以下のバイク(原付一種)は、ほぼ日本専用のガラパゴス製品で、世界的にみるとバイクの排気量は125ccが下限となっている。現在二輪、四輪を問わず、排ガス規制はグローバルに統一されて、世界の排ガス規制が「125ccでギリギリクリアできる」限界を狙って厳しさを増す。

 ただ、排ガス規制をクリアさせる技術は四輪車で確立されている。技術的には不可能ではない。精密な吸気量測定とインジェクション、それに三元触媒を組み合わせればいい。しかし、この排ガス対策装置の異常を検知する装置(OBD)の取り付け義務化などコスト増の要件が山積している。価格が安い国内専用モデル50ccバイクが、その技術を導入して規制をクリアしても、「商品価値を維持できるのか?」という辛さがある。

 こうした状況を背景に、2016年10月、ホンダとヤマハが提携することを前提に具体的な発表を行なった。日本国内の50cc原付バイクや、電動二輪車を含めた原付一種領域での協業に向けた業務提携について検討を開始したのだ。

 今後、「平成28年規制」よりも厳しい「Euro5」規制値が2020年にも導入される予定だ。しかし、現実的に50ccスクーターは必要とされているし、新聞配達などに使われるビジネスバイクも「(規制に対応)出来なくなった」では、すまされないため、協働で乗り切ろうという思惑で一致したわけだ。

 また、日本郵政とホンダは3月に、電動バイクの社会インフラ整備に向けた協業を発表した。長年見慣れた「郵政カブ」は遠からず電動化されるということだ。

 そして、7月21日、ホンダとヤマハ、そしてさいたま市の3者が、さいたま市の電気自動車普及施策「E-KIZUNA Project」の一環として、電動二輪車(EVバイク)の普及拡大に向けた実証実験を開始すると発表した。

 「Euro5」規制が始まり、50cc原付バイクが消滅するまえに、大急ぎで実用に耐える電動バイクの開発が進められている。(編集担当:吉田恒)

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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

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