顧客満足経営のツボ3 〜見え辛い顧客期待を把握し、コートを日本一売った百貨店〜

2017年7月26日 18:09

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 ある百貨店が見え辛い顧客期待を把握し、白いコートを日本一売りました。その理由は売場店員がお客さまの買物行動を観察(その気で見る)しただけなのです。

【前回は】顧客満足経営のツボ2 〜CSには顧客期待と提供価値のみ存在する〜

●白いコートを日本一売った百貨店で起きたこと 

 若い女性の間で白いコートが流行った時期がありました。その時、ある百貨店が日本一この白いコートを販売したと言われています。そのきっかけはとっても簡単なことでした。

 そろそろコートも欲しくなる11月の初旬に起きたことです。平場の婦人コート売場で若い女性が白いコートをじっと見ていることに売場の店員は気が付きました。

 コートは風合い、着心地が大事ですから、いつもであればお客さまはコートを触ります。しかし、この若い女性は白いコートを触ろうとせず、じっと見ているだけでした。

 このことに気が付いた店員はバックヤードで『若い女性が白いコートに触らないで、じっと見ている』現象を話題にし、みんなで『何故だろう?』と考えました。

●この若い女性の顧客期待

 『若い女性が白いコートに触らないで、じっと見ている』という行動から、この若い女性の2つの気持ちを店員は想定しました。

 1つ目は『白いコートは触りたいけど、触り辛い』という気持ちがあるかもしれないというものです。本来であれば、『コートは触って風合いを確かめたい。しかし、白色は汚れが目立つ、触って汚してしまったら、まずい。』という気持ちがあるから、触らないでじっと見ていたのではないかと想定しました。

 2つ目は『買いたくない商品まで買わされてしまうかも』というお客さまの気持ちです。百貨店は接客販売をしているため、売場には必ず接客員がいます。接客員の中には、『売らんかな』の態度が強く出て、お客さまが望んでもいないのに、「いかがですか?試着しませんか?」の余計な声かけをしてきます。

 お客さまの近くにこの『売らんかな』の接客員がいて、触った白いコートが偶然汚れていたら、『この接客員に買いたくないコートを買わされてしまうかもしれない』という気持ちがあったから、この若い女性は白いコートを触らず、じっと見ていたのかもしれないと想定しました。

●お客さまの買物行動観察(その気で見る)から顧客期待把握

 このようなお客さまの気持ちはお客さま自身が積極的には言ってはくれません。もしかしたら、お客さま自身は気が付いていないかもしれません。無意識のうちに白いコートを買わないことになってしまうこともあるでしょう。

 この百貨店では『白いコートは触りたいけど、触り辛い、なんとかならないかしら』という顧客期待をお客さまの『白いコートをじっと見ていた』という若い女性の行動から把握しました。

 その結果、コートの全売場で『触ってください、是非風合いを確かめてください』のPOPを添付、白いコートに触って頂くことを徹底しました。そしてコートを日本一売ったのでした。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

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