飯野海運 Research Memo(2):110年以上の歴史を誇る海運会社、海運業と不動産業が両輪

2017年7月26日 15:42

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記事提供元:フィスコ


*15:42JST 飯野海運 Research Memo(2):110年以上の歴史を誇る海運会社、海運業と不動産業が両輪
■会社概要

1. 会社概要
飯野海運<9119>は1899年の設立(飯野商会、京都府舞鶴市)以来110年以上の歴史を誇る海運会社である。現在は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディングを主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪として事業展開し、永続的な安定成長を目指している。

2017年3月期末の資本金13,092百万円、発行済株式数111,075,980株(うち自己株式数106,737株)、連結ベース従業員数626人である。なお、1964年に海運集約に際して定期船部門を分離・譲渡した経緯から、川崎汽船<9107>が第1位株主となっている。

2. 沿革
1899年創業者の飯野寅吉氏が京都府舞鶴市に飯野商会を設立して港湾荷役業及び石炭運送業に着手、1931年日本初の本格的外航タンカー「富士山丸」竣工、1944年現商号の飯野海運株式会社に改称、1949年東京証券取引所上場、1951年定期航路経営に本格進出、1964年海運集約に際して定期船部門を分離・譲渡(以来、タンカー・不定期貨物船経営が主力)、1991年インドネシア産LNGプロジェクトに参画してLNG輸送に進出、1993年カタール産LNGプロジェクトに参画、1999年創業100周年、2001年世界最大級のサウジアラビア・メタノール製造プロジェクトに参画、2003年自主運航LNGタンカー「SK SUNRISE」竣工、2004年海上運送業においてISO9001・14001同時認証取得、2005年ビル賃貸業においてISO9001・14001同時認証取得、2009年ケミカルタンカーによるバイオETBE(エチル・ターシャリ・ブチル・エーテル)輸送開始、2011年飯野ビルディング建て替えI期工事完了して開業・本社オフィスが日本初の「LEEDプラチナ認証」取得、2014年飯野ビルディングII期工事完了してグランドオープンした。2017年には創立125周年(2024年)に向けた新中期経営計画を策定している。

3. 事業内容
セグメント区分は外航海運業、内航・近海海運業、不動産業としている。2017年3月期の売上高構成比は外航海運業75.0%、内航・近海海運業10.2%、不動産業14.8%、営業利益構成比は外航海運業39.8%、内航・近海海運業2.7%、不動産業57.5%である。海運業と不動産業を収益の両輪としていることが特徴だ。

海運業のうち外航海運業は、全世界にわたる水域で原油、石油製品、石油化学製品、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、発電用石炭、肥料、木材チップ等の海上輸送を行っている。内航・近海海運業は、国内及び近海を中心とした水域でLNG、LPG、石油化学系ガス等の海上輸送を行っている。ケミカルタンカーや大型・小型ガスキャリア(LNG・LPG輸送船)による資源・エネルギー関連輸送を主力として、遠洋から近海にわたる幅広い水域で海上輸送サービスを提供していることが特徴だ。また、船舶管理業や船用品販売業なども行っている。

不動産業は、国内においてオフィスビル賃貸・管理・メンテナンス、及びフォトスタジオ運営を中心とした不動産関連事業を行っている。本社ビルである飯野ビルディング(イイノホール・カンファレンスセンター含む)の賃貸を主力として、東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを所有していることが特徴だ。

4. グループ会社
2017年3月期末のグループ会社は、同社、連結対象子会社56社、持分法適用関連会社4社、及び連結対象外関係会社10社の合計71社で構成されている。海外は現地法人や駐在員事務所など合計8拠点(シンガポール、ヒューストン、コネチカット、ロンドン、ドバイ、大連、釜山、マニラ)に展開している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)《HN》

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