あらた Research Memo(3):2017年3月期は化粧品・雑貨を中心に売上が拡大し、過去最高業績を更新

2017年7月11日 15:07

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記事提供元:フィスコ


*15:07JST あらた Research Memo(3):2017年3月期は化粧品・雑貨を中心に売上が拡大し、過去最高業績を更新
■業績動向

1. 2017年3月期の業績概要
あらた<2733>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.1%増の704,610百万円、営業利益が同29.6%増の7,384百万円、経常利益が同35.0%増の7,842百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同49.9%増の4,863百万円となり、期初計画及び11月に上方修正した計画をすべての項目で上回る増収増益となり、2期連続で過去最高業績を更新した。

売上高は、ドラッグストア業態の主要顧客先が出店数を拡大したことで取引量が増加したこと、夏場の猛暑により季節商材が好調に推移したことなどが増収要因となった。また、ネット関連・越境EC事業者向けの売上高が前期比35%増と急伸したほか、子会社のジャペル(株)の売上高が同4%増、(株)ファッションあらたが同24%増とそれぞれ好調に推移したことも増収要因となった。ジャペル(株)については、新規取引先メーカーが増加したほか、販売先の小売店舗数が増加し、市場シェアを拡大していることが増収要因となった。(株)ファッションあらたについては、化粧品・雑貨市場全体がインバウンド需要を追い風に拡大していることに加え、ドラッグストアを中心に販売先の店舗数が増加したこと、取り扱うオーガニックスキンケア商品がSNSの口コミを通じて大ヒットしたことなどが好調の要因となっている。

売上高の伸びを商品カテゴリー別で見ると、Health & Beautyが前期比7.8%増となったほか、トイレタリー商品が同4.3%増、家庭用品が同3.8%増、ペット・その他が同2.9%増とそれぞれ増加した。紙製品については前年にインバウンド需要で大幅増となった紙おむつのブームが一巡したことが響いて、前期比0.1%増とほぼ横ばい水準にとどまった。

業態別売上高で見ると、主力販売先であるドラッグストア向けが前期比6.2%増と好調に推移したほか、ホームセンター向けが同1.1%増、SM(スーパーマーケット)向けが同2.3%増、ディスカウントストア向けが同4.8%増、GMS向けが同2.8%増といずれも堅調に推移した。また、ネット関連・越境EC事業者向けが含まれるその他も同7.2%増と高い伸びを示した。唯一、CVS向けが同32.0%減と大きく減少したが、これは同社顧客が2016年9月に経営統合されたことで、取扱量を段階的に減らしたことが影響している。なお、海外事業ではタイでDHC化粧品((株)ディーエイチシー)の総代理店として現地日系小売企業向けに卸販売しているが、売上規模としてはまだ軽微となっている。

営業利益の増益要因は、増収効果に加えて売上高販管費率が前期の9.6%から当期は9.3%と0.3%低下したことが要因となっている。特に、売上高人件費率は間接業務の効率化を目的に、事務センターを7拠点から5拠点に集約したこと等により、同0.1%低下した。また、売上高荷造発送費比率は商品単価の上昇に加えて、物流生産性の効率化に取り組んだことにより同0.1%低下し、その他販管費についても賃借料等の低減により同0.1%低下した。商品単価の上昇についてはメーカーの商品戦略が高付加価値商品重視となったことが影響しており、カテゴリー別ではHealth & Beautyやトイレタリーが4%増と上昇率が大きかった。なお、紙製品のみ0.7%減と唯一低下したが、これは前期にインバウンド需要で高単価の紙おむつの爆買いがあった反動減によるものとなっている。

なお、売上総利益率が前期の10.5%から当期は10.4%と0.1%低下したが、これは受託物流事業において従来、販管費に計上していた項目を売上原価に計上したことが主因となっている。この影響を除けば、売上総利益率も前比で若干上昇している。受託物流事業については、顧客との取引条件の見直しや物流センター内業務の効率化を進めてきた効果により増益に寄与している。

経常利益の増益率が営業利益よりも大きくなっているが、これは営業外収支が前期比で346百万円改善したためだ。この要因を見ると、有利子負債の削減等に金融収益が136百万円改善したほか、貸倒引当金戻入額が前期比109百万円増、業務受託手数料が同56百万円増となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《MW》

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