「第24回香港ファッション・ウィーク春/夏」に20カ国・地域から1100社出展 中国微増 インド・韓国は減少

2017年7月11日 11:11

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記事提供元:アパレルウェブ


会期中は、出展社によるフロアショーも開催

【10日=香港】香港貿易発展局が主催するアジア最大級のファッション総合見本市「第24回香港ファッション・ウィーク春/夏」(香港貿易発展局主催)がきょう10日、香港コンベンション&エキシビションセンターで開幕した。初参加のカナダ、ネパール、サウジアラビア、ベトナムを含めた20カ国・地域から1,094社が参加し、日本からは12社が参加している。13日までの4日間。

 参加した全1,094社(前年比108社減)を国別にみると、香港以外の出展社数は705社で、中国582社(前年比15社増)、インド40社(18社減)、タイ18社(4社減)、韓国15社(47社減)、日本12社(4社増)、マカオ9社(9社減)が上位を占める。中国の出展社数が増えた一方、インド、韓国の減少が見られた。アパレルからアクセサリー、雑貨、テキスタイル、サービスまで、ファッションに関連する幅広いカテゴリーを網羅しているのが同展示会の強みだが、前回の「ファッションテック」に続き、今回は、スポーツウエアのファッション化や、世界的に盛り上がりを見せるアスレジャーブームといった市場の変化に合わせ、「ファッショナブル・スポーツウエア(Fashionable Sportswear)」と「アーバン・クロージング(Urban Clothing)」という2つのゾーンを新設。それぞれ約20社、約25社がブースを構え、訴求を強めている。

 日本の全出展社のうち初参加は8社。中小企業の産業支援を行う国際ファッションセンターのサポートによる展示ブースには、レザーバッグブランド「コケット(Coquette)」(林きょうこデザイナー) や、制服ファッションブランド「Lucy Pop(ルーシーポップ)」(株式会社響/神山太代表)など7社がブースを構えた。

付加価値で勝負する日本ブランド

 「コケット」は近年、ウーマンやトラノイなどパリの展示会への出展が続いており、香港の展示会は初経験。日本以外の販路を広げる一環として、欧州やアジアのハブでありながら非関税、また、日本の伝統文化への造詣も深いといわれる点に魅力を感じ、出展を決めた。レザー調に加工した和紙のバッグや、折りを駆使して編み込んだように見せたレザーのバッグなど、素材加工に特徴のあるアイテムは、今年のトラノイでも披露したものだ。「レザーバッグの本場である欧州で日本のブランドが勝負するには、ほかのブランドにはない要素が求められる。パリでの出展経験は、結果としてブランドの付加価値を追求することにつながった」と林きょうこデザイナー。初日から来場者の反応は非常によく、なかには、すべてのサンプルを買い取り、拠点である香港や台湾のショールームで反応を見たいと申し出たディストリビューターもいた。中心価格は3万円台。

 「ルーシーポップ」が香港貿易発展局による展示会に参加するのは、2015年のワールドブティック香港、2016年のセンターステージに続き3回目。日本のアニメやアイドル人気を背景に、制服ファッションは、中国や香港、台湾、インドネシアなどアジアではすでにファンを獲得しているが、卸先やライセンシー開拓のために出展した。制服を上下で揃えると、上代価格は約3万円。中国では上海の富裕層が中心顧客だというが、「インドネシアだと平均月収にあたる価格。手ごろな価格を実現できるパートナーと組み、若い世代に日本の“カワイイ”をもっと気軽に楽しんでほしい」と神山代表。会期前の7月8日には、香港の制服ファンを集めてイベントを実施。SNSを通じて同展示会の告知も行った。「10~20代を中心とした消費者への認知度は高いが、バイイングを行う世代への浸透はまだまだ。SNSを中心としたファンのプロモーション力を通じて、制服ファッションに対する理解を広げ、マーケットを拡大していきたい」と意欲を見せた。

 幅広いカテゴリーの出展社が顔を揃える一方で課題となるのは、来場者数の確保。2016年春夏の来場者数は1万3,000人と前の年に比べて2割ほど減少し、2年連続の前年割れとなった(100以下の位を切り捨てて算出)。10年以上に渡り同展示会に参加しているという中国のアパレルメーカーは、「出展者・来場者ともに減少している」と懸念するが、それでも出展を続けるのは、「中国の展示会には訪れない欧州の有力バイヤーが多く来場するから」という。同じく欧州市場をターゲットにする韓国の常連ブランドは、「リピート客がつきやすく、ビジネスチャンスを広げるには最適だ」と同展示会の魅力について話した。アジアや欧米各国に拠点を持つ香港貿易発展局のネットワークを生かすとともに、ビジネスハブである香港の強みを発揮することが集客力拡大に求められる。


今回のコンセプトは、「Style in Motion」。競技場のトラックなど、トレンドの1つであるスポーツの要素を会場内のディスプレイやイメージムービーに取り入れている


サウジアラビアから出展した初めてのブランド「RANA ISMAIL」。初日に行われたランウェイショーでは、アラブの民族衣装をほうふつとさせるデザインにスポーツテイストを加えた都会的なコレクションを披露


「ルーシーポップ」。ディスプレイを見かけて撮影する姿が、若い女性来場者を中心に多く見られた


「コケット」。和紙で作ったバッグや、メッシュ状に折られたバッグの素材を手に取り、軽さに驚くバイヤーも


初日のレセプションには、ニットウエア・イノベーション&デザイン協会会長のローレンス・リョン氏ら香港ファッション業界の要人が集まった

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