【編集長の視点】いちごは積極的なM&Aをテコにハイブリッド収益モデルの深化を再評価して反発

2017年7月7日 09:17

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 いちご<2337>(東1)は、前日6日に3円高の342円と反発し、25日移動平均線水準での中段保ち合いからの上放れを窺った。この日の日経平均株価が、約2週間ぶりに心理的なフシ目の2万円大台を割ったなか、引き続き今年6月30日に発表したセントロ(東京都港区)の全株式を取得したM&Aが買い手掛かりで、同社独自のハイブリッド型収益モデルが成長、深化して積極的な中期経営計画の強力なステップになると期待され低値ごろ株買いが再燃した。また、同社は、今年7月13日に今2018年2月期第1四半期(2017年3月~5月期、1Q)決算の発表を予定しており、前期は四半期決算発表のたびに業績サプライズがあっただけに、その動向に株価注目度もアップしている。

■セルフストレージ事業と農業事業がオンする相乗効果で中期経営計画が加速

 同社は、主に賃料収入や売電収入などのストック収益と、主に不動産オーナーの既存不動産に新たな価値を創造する心築事業の不動産売却益のフロー収益を融合させたハイブリッド収益モデルで高成長しており、今回、32億500万円を出資してセントロの全株式を取得したM&Aは、セントロ自体が東京都を心部中心に約50億円の収益不動産を保有しているほか、傘下2社のうちストレージプラス(東京都港区)が、トランクルーム・レンタル収納を扱う屋内型セルフストレージ事業を展開、もう1社のテヌート(同)では産業界で排出されるCO2を分離回収し効率的に施用するシステムなどによる農業事業の活性化を図っており、心築事業とのシナジーを高め、新たなアセットタイプへの参入につながるとともに、同社のメガソーラー発電のクリーンエネルギー事業を一段と発展させるもので、前2017年2月期から推進中の中期経営計画の加速経営策として、株価評価を高めた。

 中期経営計画は、企業力をさらに深掘りし次の成長エンジンを駆動させることにより、最終年度の2019年2月期には、営業利益250億円、経常利益214億円、純利益148億円を目標として、中期計画推進直前の2016年2月期実績に対してそれぞれ62.2%、54.1%、14.5%の高成長となるもので、その成長可能性が高まることを示唆した。

 いちごの今2018年2月期業績は、売り上げ755億円(前期比30.9%減)、営業利益206億円(同5.4%減)、経常利益183億円(同7.4%減)、純利益135億円(同9.4%減)と前期の過去最高業績からの減収減益転換を見込んでいるが、足元での業績寄与度も注目される。とくに7月13日に発表予定の今期1Q業績は、前期業績が前期第1四半期、第2四半期と四半期決算発表のたびに大幅増収増益で着地し業績サブライズとなっただけに、今期業績の方向性を左右する可能性も強い。

■高値から6カ月目を経過し期日向かいでPER12倍台の割安修正に再発進

 株価は、昨年12月のいちごグリーンインフラ投資法人<9282>の東証インフラ市場への上場、同ファンドへの13件の資産譲渡などを手掛かり材料につけた今年1月の年初来高値472円から配当権利落ちなどで同安値302円へ調整し、自己株式取得も加わって下げ過ぎとして25日移動平均線までリバウンド、高値から日柄もちょうど6カ月を経過し、期日向かいの好機を示唆している。PERは12倍台と割安で、保有資産の含み益も前期末で約367億円に達しており、25日線を上放れて年初来高値へのキャッチアップを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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