パンチ Research Memo(2):金型用部品専業で、国内シェア2位、中国ではトップ

2017年7月6日 15:31

印刷

記事提供元:フィスコ


*15:31JST パンチ Research Memo(2):金型用部品専業で、国内シェア2位、中国ではトップ
■事業概要

パンチ工業<6165>は1975年創業の金型用部品メーカーで、主にプラスチック製品の製造工程で用いられる射出成型用金型に組み込まれるエジェクタピンやスプルーブシュ等の金型用部品、プレス金型用のパンチ・ダイやダイセットガイド等の製造・販売を行っている。

同社の強みは、汎用性の高い高品質の標準品(カタログ品)から顧客ニーズに対応した特注品まで多種多様な製品を供給できる技術開発力と、一気通貫の生産体制を構築していること、並びに国内外で生産・販売拠点を構築していることが挙げられる。生産拠点は国内4拠点、中国6拠点、東南アジア2拠点(マレーシア、ベトナム)の合計12拠点となり、販売拠点は国内13拠点、中国33拠点、その他で7拠点の合計53拠点となっている。

金型用部品の新規顧客開拓はカタログ品の取引からスタートし、顧客の信頼を高めてから付加価値の高い特注品の受注を獲得していく営業戦略となる。現在、カタログ品と特注品の比率は4:6程度と特注品の比率がやや上昇傾向となっている。収益性の観点で見ると、継続的な受注が見込まれるカタログ品が工場の稼働率を安定させる役割を果たし、付加価値の高い特注品を獲得することで利益率を高めていくバランスのとれた構造になっていると言える。

2017年3月期における顧客業種別売上構成比を見ると、自動車が46.2%、電子部品・半導体が18.3%、家電・精密機器が12.6%となっており、これら3業種で全体の約77%を占めている。このため、自動車やエレクトロニクス業界の生産動向と相関性が高いと言える。また、地域別売上構成比では日本が43.4%、中国が47.6%と両国で全体の約90%を占める。中国では50%強が自動車業界向けとなっており、外資系、ローカル系問わず取引関係がある。顧客数は多数にわたっており、特定顧客の生産動向に影響を受けることはほとんどない。なお、為替変動が営業利益に与える影響は、同社が輸出入取引を円建てで行っているため限定的となっている。中国子会社の業績については、人民元を円換算した際の為替レート変動分が売上高に影響を与えるものの、営業利益面では日本向けに一定量、輸出しているため、大半が相殺される格好となる。なお、中国子会社には本社からのUS ドル建ローンがあり、人民元安ドル高の局面では、営業外費用として評価損失が発生する可能性があるため、通貨オプション等により、為替変動リスクをヘッジしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《HN》

関連記事