ヘルスケア修正法案採決延期の影響は、6月28日のドル円為替

2017年6月28日 10:20

印刷

 動きの鈍かった先週から一転、ついに1ドル112円を突破した。6月27日10:45(すべて日本時間)ごろに1ドル112円08銭をつけた後は、反発から1ドル111円46銭まで下げているが、その後はじりじりと上昇、23:00には再度112円を突破、日付の変わった28日1:00には1ドル112円47銭の高値をつけている。背景には堅調だった経済指標の結果があるが、トランプ政権の問題も明らかになり予断を許さない状況である。

【こちらも】今日の為替市場ポイント:ユーロ買い・円売り継続でドルは対円で底堅い動きに

 最近発表される経済指標が低迷したものばかりだっただけに、27日23:00に発表された2つの指標結果は市場にとって予想外だったに違いない。6月消費者信頼感指数は118.9と事前予想の116.0どころか前月の117.6をも上回ってきた。6月リッチモンド連銀製造業指数も7と、事前予想の5を上回っている。その後はハーカー・フィアデルフィア連銀総裁も「インフレ抑制要因は一時的」と発表。一方で「インフレが目標から離れるようなら金利見直しは再考」ともコメント。ともかく8時間でドルは1円上昇している。

 しかしトランプ政権の政策は暗礁に乗り上げている。肝心のヘルスケア修正法案の上院議会採決を延期したのだ。当初の予定であれば今週中であった。CBO(議会予算局)の分析では、無保険者が2200万人増加する代わりに、節税効果は3210億ドルという試算が発表されている。共和党保守派など反対者の数が微妙な状況だったが、否決される可能性が高まったのだろう。採決は7月4日の独立記念日休暇以降に延期され、それに伴って予定されていたインフラ投資や大規模減税も先送りとなる。こちらは財源として期待されているヘルスケア修正法案が決まらない限り動けないのだ。リスク回避のドル売りの傾向も強まっている。

 ドラキECB総裁がユーロの景気回復、デフレ圧力がリフレに変わったと発言したことでユーロ買い円・ドル売りが盛んになったが、こちらも金融緩和策を縮小するかどうか決まったわけでもなく、まだ流動的である。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事