IoT活用の介護支援、安価に「がんばらない介護」を実現へ

2017年6月23日 07:58

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記事提供元:エコノミックニュース

2030年には、「住・介護」「食」「医療・健康」「外出」の4領域に関して、テクノロジーの市場規模は合計約18兆円になるといわれている。

2030年には、「住・介護」「食」「医療・健康」「外出」の4領域に関して、テクノロジーの市場規模は合計約18兆円になるといわれている。[写真拡大]

 2030年には、「住・介護」「食」「医療・健康」「外出」の4領域に関して、テクノロジーの市場規模は合計約18兆円になるといわれている。KDDIの調べでは、1000万世帯のうち3割弱(約300万世帯)で、見守りデバイスの利用意向があり、見守りサービスへの需要は高齢者数の増加に伴って今後も拡大していくと考えられる。こうした需要の拡大を受けて、介護分野において遠隔からの状況把握を行う、IoTによる見守り支援システムを展開する事業者が増加している。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)はIoTベンチャーのZ-Worksと共同でIoTを活用した介護支援ビジネスを展開する。非接触センサーを複数設置し、入居者の状態を検知する「居室見守り介護支援システム」により介護者の負荷軽減を目指す。

 深刻な人手不足から、介護者の負担軽減に向けたIoT活用への期待が高まっている。IoT見守りシステムでは、赤外線カメラ、ベッドなどに設置したセンサー、ウエアラブル端末などを用い、高齢者のベッドからの離床や転倒などの検知、トイレのタイミングの予測などを行いう。従来の見守り業務と比較して、個別に各部屋を見回る頻度を大幅に減らせるため介護者の負担軽減や人手の削減が可能となる。また、高齢者にとっても落ち着いてプライベートな時間を過ごせるというメリットもある。

 居室見守り介護支援システムは、要介護者の脈拍や呼吸、寝返りの回数などを検知するマイクロ波センサーや、人感、温度、湿度、明るさを検知するマルチセンサー、磁気によるドア開閉状況とともに人感・温度・明るさを検知するドアセンサーといったセンサー群。センサーからの情報を集積し、有線LANか3G/LTE回線でクラウドとつなげるゲートウェイ。センサー情報から要介護者の状態をクラウド上で解析する「行動翻訳エンジン」から構成される。

 大手電機メーカーなどが現在展開しているIoT介護支援システムは、1施設当たり数千万円と高価なものが多いなか、キヤノンMJとZ-Worksが開発したシステムは、安価な海外製のセンサーを活用し、センサー情報をクラウドで解析するため、導入費用が比較的安価なのが特徴。また、各センサーを有線でつなげる必要がないので基本的に工事が不要であり、設置にかかる時間も短いといったメリットもある。センサーが非接触なため要介護者にかける負担も少なくて済む。同システムは、まずは、介護事業会社「SOMPOケアネクスト」が運営する全国115施設に導入される予定。(編集担当:久保田雄城)

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