金融検査マニュアルの廃止と銀行の健全化 今後の行方は?

2017年6月15日 20:00

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 8日付の日本経済新聞は金融庁が「強権」を封印し、銀行検査を抜本見直しすると伝えた。1999年に導入した検査官の手引書「金融検査マニュアル」を廃止し、検査局を組織改正するのが柱だとしている。

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 金融庁はバブル崩壊後に銀行の経営に大ナタを振るい締め上げた。銀行はこの「マニュアル」に忠実に対応し、不良債権は大幅に整理されたが、貸出する先も失ってしまった。取引先の経営状況に応じてランク付けし貸出先を選別してきたところ、適切に貸出しできる先がなくなってしまったのだ。

 もちろん、貸出しを求めている先は数多くあるが「マニュアル」のチェック項目に引っかかり貸出しできない。反対に貸出ししたい先は充分な資金を持っていたり、自力調達能力があったりで、さっぱり借りてくれない。かつて背にしていた床柱の位置を変えても効果はなかった。預金は順調すぎるほど集まるのに、貸出しが増えないから利益が出せない。貸出金利から預金利息を払って粗利になるのに、増えるのが預金利息ばかりでは上がったりである。

 そこでフィー(手数料)稼ぎに舵を切った。既に親しまれてきた銀行の業務の中で手数料を取れるものはないかと、散々探し回り両替からも手数料を取ることにした。投資信託の窓販解禁は渡りに船だった。当時「銀行員に証券マンの仕事ができるのか?銀行員がお客様にリスク商品を販売できるのか?」という雰囲気だったが、人格者が銀行員になったわけではないので、販売手数料の目標に忠実に向かっていった。

 販売手数料の嵩が大きい商品(儲けの大きい商品)がリスクの高い商品であることは、どんな商売でも同じである。色々不都合な事例が確認されるようになって、投資信託の窓販についても金融庁のチェックを受けるようになった。困り切った時に日本銀行がマイナス金利政策を採用した。いよいよ八方ふさがりになった。

 さて、銀行は金融庁の思惑に応えて、適正な利益を計上する健全な体質に生まれ変わることができるのか。優秀な人材は豊富で、運用が可能な預金はたっぷりある。金融庁の振るタクトのお手並みを見守るしかないのだろうか?(矢牧滋夫)

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