メディカル・データ・ビジョン:治験に大規模医療ビッグデータを活用し大幅な迅速化や低コスト化を推進

2017年6月14日 12:48

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■新薬開発が国際化する中で日本の治験は高コストとされる現状を変革

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は13日、新事業となる治験事業(SMO=治験施設支援機関=事業)への取り組みを発表した。医療ビッグデータ関連サービスの大手で、実患者数にして1863万人(国民7人に一人)分の大規模診療データベースを蓄積。6月7日にSMO業務や治験施設システムサポート業務などを行う株式会社コスメックス(東京都中央区)の全株式を取得し、治験過程の大幅な迅速化や低コスト化を進めるとした。

■ビッグデータ活用により治験対象者の事前抽出などが大きく効率化

 治験事業に大規模な医療ビッグデータを活用すると、治験対象者の事前抽出などが大幅に迅速化でき効率化が進むとみられている。現在は、データ活用は進んでいるものの、まだ個々の病院や医療機関グループ内でそれぞれ保有するデータを活用するレベルといわざるを得ない状態で、各医療機関が抽出した対象者を寄せ集める方式を採るため、幅広く抽出する上で困難があったり、マンパワーによる人海戦術的な印象が色濃く残っているという。あるタイプの治験の場合、100人規模の治験対象者をそろえるのに3~4週間はかかり、この間の人件費などが治験費用を押し上げている面は否定できないようだ。

 こうした人海戦術的な作業過程に大規模な医療ビッグデータを活用すると、格段に幅広い対象者の中から効率的に事前抽出することが可能になり、必要な時間は「週」単位から「日」のレベルに短期間化することが可能になるという。抽出に要する費用の大幅な低コスト化が見込めることになる。さらに、システム化された抽出のため、治験の方法を変更する場合などに備えたシミュレーションも可能になるという。

 新薬開発が国際化し、治験事業もグローバル化する中で、日本の治験は世界的に見て価格が高いといわれており、製薬会社などからのオーダー(発注)が海外に流出する傾向が見られるという中で、大規模な医療ビッグデータを活用した低コスト化は、産業として見ても日本の治験業界に大きな変革をもたらす可能性があるといえそうだ。    メディカル・データ・ビジョンが取り組む治験事業の新事業としての想定売り上げ規模は、2017年12月期の第4四半期頃から年間約3億円規模を見込み、18年12月期の第3四半期頃からは同じく6~7億円規模に、そして、最新の医療機関向けITシステム「CADA-BOX(カーダボックス」の普及とともに、約10年後を待たずに2025年12月期末以降は同500億円規模への急拡大を想定している。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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