欧米為替見通し:ドル・円は上値の重い展開か、イベント通過後の買いは一服

2017年6月9日 17:25

印刷

記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は上値の重い展開か、イベント通過後の買いは一服
今日の欧米外為市場では、ドル・円は上値の重い展開を予想する。英総選挙など重要イベントが通過し、トランプ米大統領の弾劾・罷免リスクの後退による安心感からドル買い地合いが強まろう。ただ、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げはすでに織り込まれ、新たな材料が提供されなければ積極的なドル買いは手控えられそうだ。

日本時間8日夜から9日朝まで集中した重要イベントは、ほぼ想定通りの結果となった。欧州中銀(ECB)はインフレ見通しを引き下げたほか、今後の資産買入れの縮小に慎重な姿勢を示した。最近のユーロ圏経済の回復基調を背景に、一部では金融緩和策の解除への観測もあったが、ECBのハト派寄りのスタンスを受け、今晩はユーロ買いの巻き戻しが続く見通し。

また、英総選挙では与党・保守党が過半数を割り込んだ。最大野党・労働党は選挙戦に入って急激に支持を広げたものの、政策スタンスの近いスコットランド国民党などと連立政権を発足させるには議席数が不足しており、最終的には第1党の保守党を軸とした政権となる見通し。選挙結果を受けポンド売り先行は避けられないが、「ハード・ブレグジット」回避への思惑から目先はポンドが買い戻される展開を予想したい。(吉池 威)

一方、米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官による上院情報特別委員会での証言に関しては、トランプ大統領がフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)への捜査中止を要請したことが改めて明らかにされたものの、さらに踏み込んだ内容は示されなかった。米大統領選のロシアの関与に関する疑惑は今後もくすぶり続ける見通しだが、トランプ大統領の弾劾・罷免への警戒はいったん後退し、ドルに買いが入りやすい。

ただし、連邦準備制度理事会(FRB)が13-14日に開催するFOMC会合で利上げに踏み切ることは、すでに織り込まれているもよう。加えて、今後の利上げ時期は不透明となり、米長期金利の上昇は見込みにくい。このため、来週のFOMC後はドル売りに転じるとの見方が広がり始めており、ドル・円の上昇は想定内にとどまりそうだ。

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・4月鉱工業生産(前月比予想:+0.7%、3月:-0.5%)
・17:30 英・4月製造業生産(前月比予想:+0.8%、3月:-0.6%)
・17:30 英・4月貿易収支(予想:-120.00億ポンド、3月:-134.41億ポンド)
・21:30 カナダ・5月失業率(予想:6.6%、4月:6.5%)
・23:00 米・4月卸売在庫改定値(前月比予想:-0.3%、速報値:-0.3%)《CS》

関連記事