【柔道】愛知県柔道連盟副会長高濱久和氏、暴言により処分 資格停止1年

2017年5月25日 21:30

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 全日本柔道連盟(全柔連)は23日、愛知県柔道連盟副会長の高濱久和氏(66)に対し、パワーハラスメント(パワハラ)を行ったと認定して、同日から1年間会員登録停止、指導者資格停止処分を科したと発表した。

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■パワハラの概要


 確認されているのは全部で3件。

 14年3月に愛知県知多市で行われた練習会で、参加していた女性が「早く指導を始めてもらえませんか?」と言ったところ、「8段の私に文句を言った」と3年間言い続けた。

 また、昇段審査において3人が1勝1敗で並んだ時は、「八百長をしただろう」、『2、3段ごときのおばちゃんが「昇段、昇段」と言うな。4段の実力もない』などという恫喝をしていた。

 その他、県内で柔道場を開いている指導者に対しては、「講師料と月謝を二重取りして、子供たちを騙している」など、名誉を毀損するような暴言を吐いた上、「言うことを聞かなかったらつぶす」と恫喝するような態度を取ったという。

 高濱氏は「そんなひどいことは言っていない」として、一部については否定したものの、周囲からの目撃証言などからパワハラ行為があったと判断し、処分を決定した。

■パワハラが起こる原因


 では、このようなパワハラ行為が起こる理由は何か。

 柔道界は「段位が上のものが偉い」という風潮が根強く、高段者には意見しにくい雰囲気がある。また、高段者ともなると全柔連や各地域の柔道連盟でそれなりの役職を与えられることも多い。

 そういったところから、通常では考えにくいような暴言が出てきやすい環境にあるといえる。

■今後の防止策は


 もちろん柔道そのものが悪いというわけではない。

 しかし、創始者の嘉納治五郎氏は柔道による教育的効果を謳っている。そして、多くの柔道指導者も「柔道で心身が鍛えられる」もしくは「礼儀が身につく」ことを謳い文句として勧誘している。

 そうした現状がある以上、柔道を習わせる両親たちも教育的効果を期待するのは自明の理だ。

 多くの柔道指導者、ならびに柔道場では真剣に柔道に取り組み、素晴らしい教育効果を挙げているのは確かであろう。しかし、一部がこのようなパワハラ行為を行うことで、柔道のイメージが失墜することにもつながりかねない。

 柔道では過去に、女子日本代表内におけるコーチによる暴言や全柔連の強化補助金受給に関する不正が取り上げられたことは記憶に新しいところ。

 こうした不祥事が明るみに出ると、「指導者の考え方で変わってくる」という言葉も聞かれるが、両親たちが教育的効果を期待している以上、そういう言い訳は通用しない。

 必要以上に萎縮する必要はないが、指導者各自が自身の言動を見つめ直し、自ら襟を正す必要があるだろう。(記事:夏目玲奈・記事一覧を見る

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