欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、英コンサート会場付近爆発事件を消化へ

2017年5月23日 17:25

印刷

記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、英コンサート会場付近爆発事件を消化へ
今日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を予想する。英国のマンチェスターで発生したコンサート会場付近での爆発事件が材料視される見通し。テロ事件と断定されればリスク回避的な動きにつながろう。また、前日のメルケル独首相によるユーロ安けん制発言を受けたユーロの値動きも引き続き注目されそうだ。

報道によると、日本時間23日朝、米人気歌手アリアナ・グランデのコンサート会場「マンチェスター・アリーナ」付近で大きな爆発があり、多くの死傷者が出ているもよう。地元警察などはテロ事件とみて捜査している。アジア市場では「イスラム国」絡みの爆弾テロとの見方からリスク回避的な円買いが強まり、ドル・円は一時110円86銭まで値を切り下げた。その後は値を戻す展開だが、事件の詳細が明らかになれば、円買いがさらに強まるだろう。

また、前日のメルケル首相によるユーロ安けん制発言も、引き続き手がかりとなりそうだ。本日発表のユーロ圏の5月PMIなどが堅調な内容になれば、一段のユーロ買い再開が見込まれる。トランプ米大統領が、昨年の大統領選で自己陣営のロシアとの関係を示す証拠を否定するよう政府高官に要請していたとの報道もあり、足元はユーロ買い・ドル売りに振れやすい。それによるドル売りがドル・円にある程度波及する可能性もある。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は日本時間23日早朝、ミネアポリスでの講演やその後の質疑応答で、労働市場の一段の改善に関しては「不明確」との見解を示した。FRBの3月の利上げは、ハト派で知られるブレイナード氏によるタカ派寄りの発言で観測が高まった経緯を考えると、本日の慎重なスタンスにより6月の利上げ観測はやや後退し、ドルを押し下げる可能性もあろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 ユーロ圏・5月製造業PMI速報値(予想:56.5、4月:56.7)
・17:00 ユーロ圏・5月サービス業PMI速報値(予想:56.4、4月:56.4)
・17:00 ユーロ圏・5月総合PMI速報値(予想:56.7、4月:56.8)
・17:00 独・5月IFO企業景況感指数(予想:113.1、4月:112.9)
・17:30 英・4月公的部門純借入額(銀行部門除く)(予想:+87億ポンド、3月:+51億ポンド)
・22:00 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が質疑応答
・22:45 米・5月製造業PMI速報値(予想:53.0、4月:52.8)
・22:45 米・5月サービス業PMI速報値(予想:53.3、4月:53.1)
・22:45 米・5月総合PMI速報値(4月:53.2)
・23:00 米・4月新築住宅販売件数(予想:61.0万戸、3月:62.1万戸)
・23:00 米・5月リッチモンド連銀製造業指数(予想:15、4月:20)
・02:00 米財務省2年債入札(260億ドル)
・04:00 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演
・06:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演(経済見通し)
・米下院歳入委員会、税制改革で公聴会
・米予算教書(詳細)発表
・EU財務相理事会《CS》

関連記事