飛島建設など、非常食の保管・販売も行う宅配ロッカーを開発

2017年5月22日 18:51

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「イーパルボックス」のシステムイメージ(飛島建設の発表資料より)

「イーパルボックス」のシステムイメージ(飛島建設の発表資料より)[写真拡大]

 飛島建設、E&CS、フルタイムシステム、生活協同組合パルシステム東京の4社は、2017年5月に業務提携を行い、非常食の循環システム付き宅配ロッカー「イーパルボックス」を共同開発したことを発表した。イーパルボックスは、防災備蓄品の普及と効率的活用、および宅急便の再配達を削減するための宅配ロッカーだ。地震などの非常時には、非常食を提供することができる防災ロッカーとしての機能を備えている。

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 宅配ロッカーと防災機能を併せ持つイーパルボックスは、非常食の一部が販売用として投入され、残りの非常食を倉庫で保管するシステムをとる。利用者は、宅配ロッカーから日常食として非常食を好きな時に購入することができ、ランチや夜食にも利用できる。販売された非常食は、週に一度、パルシステムからロッカーの導入者に宅配され、導入者は、倉庫の古い非常食から順にロッカーへ補充していく。

 今まで、集合住宅や企業では、非常食を倉庫の奥など、目につきにくい場所で保管していた。ともすれば担当者しかどこに何があるのか分からない状況で、賞味期限切れ商品は処分するしかなかった。しかし、非常食を日常食としても販売できる循環システムを導入することにより、処分品の削減にもつなげられる。

 また、このシステムでは、大地震時には宅配ロッカーを自動開放し、非常食を提供する。もちろん宅配ロッカーとして、宅配便の受取や引き渡しもできる。企業に導入された場合は、会社で個人的な荷物のやり取りができるため、一人暮らしや共働きの世帯の利便性が高まる。昨今問題になっている宅配便の再配達の問題解決にも役立てることができる。オプションとして、AED専用BOXを設置することも可能だ。

 分譲や賃貸の集合住宅だけでなく、建物オーナーやテナント企業が入るビルにも試験的に配置されることが決まっている。イーパルボックスを設置することで、建物の付加価値が向上し、地域防災の一部の役割を果たすことになる。さらには、企業のBCP(Business Continuity Plan)にも役立てることができる。トータルコストは、非常食の廃棄処分にかかっていた経費削減ができるため、低下すると考えられている。

 国土強靭化政策の「ハード・ソフトを組み合わせ」「平時にも非常時にも有効に活用」「民間の取組を促進」に即した、防災・減災への取り組みとして注目を集めそうだ。(記事:服部小夜子・記事一覧を見る

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