模型ブームは今でも健在か、「静岡ホビーショー」にみる今の模型事情

2017年5月20日 20:25

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フィギュアと模型の融合を目指す「Figure-riseBust」シリーズ。模型とは思えない再現度である。(c)バンダイ

フィギュアと模型の融合を目指す「Figure-riseBust」シリーズ。模型とは思えない再現度である。(c)バンダイ[写真拡大]

■2017年も「静岡ホビーショー」が開催

 5月11日から14日までの間、静岡県のツインメッセ静岡で「第56回静岡ホビーショー」が開催された。「静岡ホビーショー」は毎年5月に開催されており、バンダイやタミヤ、ハセガワなど模型事業を展開する会社が一同に集まるイベントだ。前半は業者関係者だけ集まるが、後半は一般開放となるのが通例で、今年も多くの来場者を記録した。

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■フィギュアのようなプラモデルが出現

 バンダイでは昔からガンプラをはじめ、アニメ産業と共にホビー事業を展開してきた。特に最近のガンプラは完成度が高くなっており、稼働と組み立てやすさにおいては他の事業よりも一歩進んでいる印象がある。

 そのクオリティを感じられたのが、2017年4月まで放送されていた『鉄血のオルフェンズ』シリーズのガンプラだろう。徹底して色分けと組み立てやすさにこだわり、1000円とは思えない主人公機「ガンダムバルバトス」は異例のヒットを記録した。

 秘密は共通の内部フレームの使用。『鉄血のオルフェンズ』シリーズ内ではフレームをほとんど共通のものにすることで、価格を下げることに成功しているようだ。ホビーショーでは『鉄血のオルフェンズ』シリーズの模型も展示された。

 また、「静岡ホビーショー」ではフィギュアと模型を組み合わせた「Figure-riseBust」シリーズを展示。ゲームやアニメに登場するキャラクターの上半身を模型化しているシリーズで、模型なのにフィギュアのような精密な顔を表現することに成功。

 各アニメに登場するキャラクターを「Figure-riseBust」で販売する予定で、今回の展示では初音ミクが紹介されていた。

■過去作のリメイクに合わせて模型展開も充実

 最近のアニメには、「リメイク」もよく見られる。過去に流行した漫画やアニメをリメイクしてアニメ化することが多くなっているが、単純に大人世代の取り込みだけが理由でない。その理由は「静岡ホビーショー」の展示品を眺めていると見えてくる。

 たとえば、『ドラゴンボール』のリメイクが放送されているが、同時に孫悟空やベジータなどの各キャラクターのフィギュア模型化が進んでいる。他にも、ブルマが使う「ほいほいカプセル」のバイクや漫画内に出てくる乗り物も模型化。これらはホビーショーに展示されており、大きな注目を集めた。

 今の模型は再現度が高く、アニメキャラクターだけでなく劇中に出てくる細かい機械類や乗り物も模型化できるようになっている。これら充実した商品展開ができるようになることで、アニメの世界観を模型によってより再現することに成功している。こうした商品を販促するという意味も兼ねて、リメイクアニメが多くなっているのではないかと思われる。

■アニメ・ゲームの影響で戦車・戦艦模型にも火が付く

 アニメと模型は切っても切れないものとなりつつある。過去には『艦隊これくしょん』の流行により、一時期は戦艦模型が通常の5倍も売れてメーカー側で生産が追い付かないケースがあった。同じように戦車を題材にした『ガールズ&パンツァー』のヒットを受けて戦車模型が飛ぶように売れたケースもある。

 艦これやガルパンのケースを考えれば、アニメ・ゲームと模型は非常に強い結びつきがあるのがわかる。ガンダムシリーズやドラゴンボールでも同じで、アニメ放送による販促と世界観を再現している模型販売がメーカーに求められている。模型のクオリティだけでなく、よりファンの心をつかむ世界観の再現をこれからも期待したい。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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