東京薬科大、食欲抑えるペプチドを開発 ヒト用抗肥満薬に期待

2017年5月20日 12:29

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ヒトにおいて利用可能な、安全性の高い抗肥満薬のニーズは強い。

ヒトにおいて利用可能な、安全性の高い抗肥満薬のニーズは強い。[写真拡大]

 東京薬科大学の林良雄教授らの研究グループは、食欲を抑制する機能を持つペプチドを開発した。研究はまだ動物実験の段階であるが、ヒト用の新しい抗肥満薬の創薬を目指す。

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 ペプチドとは、タンパク質と同じく、アミノ酸からできている。ペプチドもタンパク質もアミノ酸がペプチド結合してできているのだが、分子量の少ないものがペプチド、多いものがタンパク質である。

 ペプチドそのものはよくある物質であり、たとえば人体の中でホルモンとして機能しているペプチドもある。着目すべき点は、血圧を下げたり、抗菌作用があったり、といった様々な機能を持つものが存在することである。今回開発された食欲抑制ペプチドは、ニューロメジンUと呼ばれるものである。

 次に、抗肥満薬についてである。今現在、日本で承認されている、食欲抑制効果を医学的に認められた薬品がたった1種類だけだが存在する。マジンドールと言い、ノバルティスファーマ社がサノレックスの商品名で販売している。

 しかしマジンドールは、かなり危険な依存性がある可能性が指摘されており、投薬にあたり医師の処方箋が必要なのはもちろんのこと、保険適用の条件も厳しく、またそれが認められてなお、連続投与は3カ月が限界とされている。

 ニューロメジンUは、食べる量が減少するペプチドをもとに、神経細胞のある特定の受容体に作用するよう、改良されたペプチドであるという。

 とはいうもののニューロメジンUもどのような薬となるのかはまだ分からない。今後、マウスその他の動物による実験を通じて、その作用、安全性などを詳しく解明していかなければならないからだ。しかし、処方薬の選択肢は増えるに越したことはないし、今後の研究の進展を首を長くして待ちたいものである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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