ソフトバンク、AI・ロボットへの開発加速「アンドロイド」生みの親を支援

2017年5月17日 20:47

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ソフトバンクが4月に発売した英語学習用AI(人工知能)搭載ロボット「Musio X(ミュージオ エックス)」(ソフトバンクの発表資料より)

ソフトバンクが4月に発売した英語学習用AI(人工知能)搭載ロボット「Musio X(ミュージオ エックス)」(ソフトバンクの発表資料より)[写真拡大]

 ソフトバンクが「アンドロイド」の開発者であるアンディ・ルービン氏が運営するハードウエア系ファンドに最大で数百億円規模の出資をする。世界的技術者であるルービン氏らシリコンバレーを牽引する技術者とタッグを組み、市場拡大が期待されるAIや人口知能という分野に出資することで新商品の開発を加速させる。

 ソフトバンクの孫正義社長はAI・ロボット開発に長らく注力してきた。12年にフランスのロボット開発会社アルデバラン・ロボティクスを買収。14年に人口知能を用いた人型ロボット「ペッパー」を発表した。当初は接客や受付業務、翻訳などを期待されていたが、お面白みはあるものの実用性に欠けることからその評価は著しくない。

 ソフトバンクとアルデバラン社の文化が噛み合わなかったことも大きい。日本人社員はスピード感に欠けるアルデバラン社にいらだち、アルデバラン社も技術を理解していないソフトバンク側に不満を抱いた。結果、ソフトバンクはアルデバラン技術者を開発から外し、「ペッパー」第一号が出荷するころにはアルデバラン社の創業者及び幹部陣は同社を去っていた。技術面においても、膨大なデータを用いた、言語、視覚、音声などの感情分析に力を入れたが、どの程度サービスとして成立するのかという点において技術者間双方で意見の相違が見られた。

 だが「ペッパー」のプロジェクトが革新的であることは間違いない。一体約19万円という個人でも手の届く価格で、人間のようなボディランゲージを交え、目の前の人間とコミュニケーションをとるロボットはこれまで存在しなかった。ソフトバンクの孫正義社長としては、「ペッパー」は当初より赤字を想定したプロジェクトであると噂されるだけに、引き続きAI・ロボットの開発に邁進していくと思われる。既に今年に入り、IBM Watsonを活用したAI社内問い合わせシステム、4月には人工知能を利用した英語学習用ロボット「Musio X」と新製品を発売している。

 アンディ・ルービン氏はアンドロイド社を創業したアメリカの技術者。「アンドロイド」の父と呼ばれ、現在はハードウエア系スタートアップの支援事業に携わっている。人工知能の開発をメインに、ドローンやスマートフォンとの連携にも従事している。孫正義社長はルービン氏と旧知の仲。ソフトバンクはシリコンバレーの優秀な技術陣とタッグを組み、AI・ロボットの開発を加速させる。

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