J1新潟、呂比須ワグナー氏が新監督就任へ

2017年5月11日 18:05

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 17位と低迷が続くサッカーJ1新潟の新監督として、元日本代表の呂比須ワグナー氏の就任が基本合意したことが、クラブ関係者により明らかにされた。

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 13日に来日し正式契約後、来週の練習から合流、20日のホーム札幌戦から指揮を執るとみられる。ブラジル出身の呂比須氏は平塚(現湘南)、名古屋等で活躍し、日本国籍を取得後は日本代表としてフランスワールドカップにも出場した。現役引退後はブラジルのクラブで監督やJ1ガンバ大阪でもコーチを務めた。

■いくつもの課題を前に

 2年連続となるシーズン途中での監督交代劇に見舞われたアルビレックス新潟。選手、スタッフ、サポーターも崩れかねないチームの再建はかつて日本の救世主と呼ばれた男に託された。

 現在、チームは攻守とも改善すべき多くの課題を抱えている中、最も期待すべきはブラジル人助っ人たちの活性化かもしれない。今季より在籍のブラジル人プレーヤー3人は前評判こそ高かったものの、ここまでチームの原動力となり切れずにいる。

 FWホニはスピードを活かし、たびたび相手ゴールを脅かすも、縦パスに反応する単調なパターンは抑え込まれる場面も多く得点も2点止まり、前節よりベンチからも外れている。MFガリャルドも前線で起用されるポジションが定まらず得点は0、もう一人のMFパトリックに至ってはリーグ戦ではベンチ入りすら無いままだ。カップ戦でも3人全員がそろって出場した試合も無く、過去、ブラジル人プレーヤーの活躍が生命線だった新潟にとっては助っ人の不振はそのまま浮上のきっかけを掴めない大きな要因に直結する。

 高い技術、そしてブラジル育ちで培われた闘争心を武器にチームを鼓舞し戦った自らの現役時代のように、持ち味を今なお発揮できずにいる3人のブラジル人選手の能力を開花させチームのけん引役にまで導くことこそ、新監督となる呂比須氏の一番のミッションではないだろうか。

■苦しかった戦いの経験を力として

 日本代表が初めて本戦に進出した1998年フランスワールドカップに出場、その前年のアジア最終予選では帰化直後から代表に合流。予選途中には成績不振により代表監督更迭という混迷を極める中、自身は3試合連続ゴールを挙げる等、悲願だった初出場を大きく後押ししたストライカー・呂比須ワグナー氏。

 今、目の前に突きつけられた現実は苦しかった当時の予選と同じか、それ以上の厳しいシチュエーションかもしれない。

 10節を終え1勝2分け7敗、チームが得た勝ち点はわずかに5。2004年のJ1昇格から17年間、一度も降格のないアルビレックス新潟が迎えた最大の危機を新指揮官は救うことができるのか。かつて日本に勇気を与えたストライカーが、新たなステージで崖っぷちの戦いに挑む。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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