【車椅子バスケット】宮城MAXが日本選手権9連覇 MVPは藤本

2017年5月6日 22:10

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 第45回内閣総理大臣杯争奪日本車椅子バスケットボール選手権大会最終日が5日、東京体育館で行われた。最終日は3位決定戦と決勝戦が行われ、接戦の末、宮城MAX(宮城)が初優勝を目指したNO EXCUSE(東京)を55-52で降して、前人未到の9連覇を達成した。

 3位はワールドBBCを56-44で降した埼玉ライオンズ。大会MVPは決勝戦でチームトップの21得点を挙げた、宮城MAXの藤本怜央が獲得した。

■決勝戦の試合経過


 宮城MAXは、豊島英のシュートで先制したものの、藤本が徹底的にマークされてインサイドに切り込めず、第1ピリオドは11-14と相手に3点リードを許す苦しい展開。第2ピリオドも嫌な流れを引きずってリードを縮めることができず、26-29と3点差のまま折り返した。

 第3ピリオドはここまで徹底的にマークされていた藤本や藤井郁美のシュートが決まりはじめたものの、1点縮めるのが精一杯。第3ピリオド終了時点で39-41で2点のリードを許す苦しい展開のまま。

 しかし、第4ピリオド開始直後に豊島がフリースローを決めて同点に追いつくと、藤本や藤井(郁)のシュートも決まりだしてリードを広げはじめる。最大で6点差まで広がったものの、NO EXCUSEも森谷幸生や池田貴啓のシュートで追いすがり53-52の1点差に迫る。

 残り15秒で宮城MAXがタイムアウト。ファールゲームから藤本がフリースローを2本決めて3点差。最後は森谷が3Pシュートを放つも決まらず、リバウンドを藤本がスティールしたところで試合終了。

 宮城MAXの9連覇が決定した。

●接戦になったのは、レベルが底上げされてきた証拠


 ドイツリーグのハンブルクでもプレーする、宮城MAXの大黒柱でもある藤本は試合後、「苦しい戦いだったが、最後はチームが一体となった。チームプレーで勝ち取った勝利」と語った。

 大会MVPを獲得したものの、これまで11年連続で獲得していた得点王を逃したが、「自分以外にも得点を決められる選手がいるチームになったということ」と話し、嬉しそうな表情を浮かべていた。

●ドイツでプレーする3人が揃い踏み


 決勝に進出した両チームの共通点は、海外のトップリーグで揉まれている選手がいる点だ。

 宮城MAXは藤本がハンブルクで、豊島がリオパラリンピック後にケルンに渡った。NO EXCUSEの香西宏昭は藤本と同じくハンブルクでプレー。彼らと一緒にプレーすることで、若手選手や所属の女子選手がレベルアップする好循環を生み出している。

 9連覇を果たした宮城MAXも、年々迫っているNO EXCUSEも、そんな彼らのプレーに刺激を受け、チーム力をレベルアップさせてきた。そのことが結果として日本の車椅子バスケット全体のレベルアップにつながっている。

 男子は北京から3大会連続でパラリンピックに出場し、リオでは9位になっているものの、女子は08年の北京以降パラリンピック出場権を得られていない。今大会から女子選手が出場できるようになったことで強化を図り、東京では男女とも1つでも上の順位を目指す。(記事:夏目玲奈・記事一覧を見る

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